Жー63 跳 梁 跋 扈 ~C' mon Slave・D~ ⑥
「魔皇、 さま……え!?」
オレの夢遊したような豹変に戸惑う間もなく、
四方八方から地鳴りのような跫音と共に噴き上がる大量の土煙。
どれもこれも寸分違わずこちらに迫ってきている。
「魔物の、 大群!?」
俗に言う “大襲来” ってヤツだね。
あ、 なるほど、 応用すれば攻撃にも使えるか、
ソレも戦術、 ヘタすりゃ戦略級の。
追々考えていこう、 今は取り敢えず集まりゃいいや。
『今宵交歓らん、 破廉の最中で』
両腕を交差させて顔を覆い最後の魔言を切った直後、
森中から集まった夥しい魔物が一斉に膝を折る。
俗に云う平伏のポーズ、 空を飛ぶ怪鳥も地に爪を付ける。
サーシャが健気にも “銀嶺” を構えてオレを護ろうとしてるが
心配ないよ、 もう全員オレの 『下僕』 に成ってるから。
主催者のような振る舞いで両腕を広げ、
歓迎の意を示すと魔物の群れは一斉に歓喜の咆哮を掲げる。
灰狼、野牛、大猿、怪鳥、子鬼、半獣各種etc、etc、
ありとあらゆるモンスターが輪を成して集っている。
目測で120体くらい居るかな?
一発の魔導でこんだけ集まりゃ上等だ。
そして魔導の効果でコイツら全部
既にオレの 『下僕』 と化している。
故にオレの 「命令」 には逆らえない。
半強制的な精神操作だがソレ以外の 「自由」 は認めるため、
効力は潜在したまま恒久的に持続する。
だからどちらかというと暗示や催眠に近い。
コレも 【咒法】 の影響、
強制力と対象レベルを引き下げるコトに由り、
その 「数」 のみを無理矢理引き上げる。
アビスが云う処の脅威度C~D辺りが集まれば恩の字だと想ったが、
Bもチラホラ混じってるな。
まぁコレはオレの魔力の御陰? そう己惚れておこう。
脳裏に埋め込んだ「命令」は簡単だ、
“オレとハーフ・エルフ以外の匂いがする人種は全て始末しろ”




