Ж-7 寄る辺無き者達 ~Unknown Unknown Unknown~ ③
「この道、 石畳で舗装してあるね~。
なんか異世界じゃないみたい」
彼女がていていと素足で突く街道は、
現代ヨーロッパにあるものと酷似している。
敷き詰めた石板の隙間を、
何らかの材料でコーティング、 圧し固めてある。
古代ローマにコンクリートを模した、
似たような工法があったとは聞くが、
或いは異能や魔導に拠るものなのかもしれない。
「おぉ~、 明るい、 明るい」
無軌道に浮遊する靄のような光源が、
周囲ならず足元までを照らしている。
さながら動く庭園灯と言った処か、
月の光は眩しいが、 それだけで夜の闇は晴れない。
さて、 異国ではなく異界の情緒に浸るのも悪くはないが、
そろそろ言うべき事は言わねばなるまい。
彼女もそれくらいは知悉している筈だ。
「あのさ」
口を開き掛けた矢先、 先手を打たれた。
「スゲーこと、 言って良い?」
何のかんのでこういうところは鋭い。
「これからどうする?」
まるで禁句、 とんでもない事でも言ってしまったかのような、
なんとも云えない複雑な表情。
事実それだけの重みを持って、 その言葉は我々に圧し掛かった。
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