Жー62 蒼 い 銀 嶺 ~Genesis of Curved~ ②
はいはい、 出来るのね。
すぐにはやんねーけど、 「魔導適性」 見分けてからじゃねーと
魔那が決壊してヘタすりゃ死ぬ。
こちとらの能力はチートじゃねーから
なんでもかんでも想い通りになんていかない。
元々そーゆー 『制約』 だしな。
【闇属性】 とか 【邪属性】 とか絶対向いてないだろうし、
まずは風とか水とか使えそうなヤツを追々見繕っていこう。
言い方悪いがアノ娘は “実験体”
成功すれば村人全員強化するつもり。
オレと相方で全員護るなんて現実的じゃないし
自分の身は自分で護るのが一番良い。
ずっと此処で引き篭もれるなんて想ってないし
“アサイラム・ガーデン” もブッちゃけ時間稼ぎだ。
ん? アイツら揃いも揃って相方から一本も取れねーのかよ?
寧ろ手ぇ抜くのに汗かいてんなリュカ。
コレで森の中なら 「立体機動」 で影すら追えねーなガチで。
ハァ~、 やっぱり便利 『思考超加速』
状況と目的とくだらねーコト考えんの同時進行出来るわ。
フゥ――。
「おひいさま。 どうぞ」
音も無く皿に置かれたティーカップが前に差し出される。
訓練には参加してないソフィアが
白い帽子を取って隣に腰掛けた。
サボリ組? オレ達は強ぇからいーんだよ。
勝者の余裕、 魔導万歳、 悔しかったら魔皇と賢者のコンビに勝ってみろ。
イヤ英霊きたらソッコー逃げるケドね。
「先ほどからその槍を撫で回されていますが、
一体何を?」
「ン~? まぁちょっと、 ね。
魔導で 「武器」 創れねーかって。
ただ同じモン二本創ってもしょーがねーし。
アノ様子じゃアイツら装備出来ねーし」
三人同時に仕掛けてアッサリ英霊の一撃で吹き飛ばされる
冒険者共。 なんか哀れに想えてきた。
って、 こらスライム、 ママより先に紅茶飲むんじゃない。
おまえが口つけたあと微妙に甘くなるんだよ。
ちょっと溶けてんじゃねーのかそのゼリーみたいな軟体が。
「おい? 俺は一体ェどうすりゃいいんだよ?
魔物狩りでも素材集めでも奴隷らしく命じたらどうだ?
扱き使われもせず喰って寝てばっかだと身体が怠って仕方がねー。
これもアンタの嫌がせっつーならそれで終わりだがよ」
オレ、 ミウ、 ソフィア (なんならアビスも)、
まるで〇〇を見るような眼で敵のソイツを見据える。
ガチャン! 思いっきり音を立ててソフィアが紅茶を
オレが魔導で造った切り株のテーブルに置いた。
今日はここまでです。




