Жー61 法印の精弓 ~Tumbling Dice~ ③
「知らねーよ。 パーティー組んでたわけじゃねーし
仲間とも思ってなかったからな。
あくまで噂で聞いたのをアンタの話に合わせて補足してるだけだ。
俺はアイツが弓撃ってる姿すら見た事ねーよ」
「おい? アイツつかえねーよな?」
『ミュウ、 ミュウ』
≪EXACTLY! MY MASTER!≫
「 『光 輝 齎 す 者』 等と宣っても、 所詮は名ばかりですか」
「不意打ちとか汚ねー真似しか出来ねーんだろ?」
「そういやワイバーン放ったのアイツだったよな」
「最っ低」
「流石に引きますですニャア~」
「あの、 えぇ~と」
「……」
「わざと聞こえるように陰口言うんじゃねー!
ってかなんで 「円陣」 組んでんだよ!」
そんなこんなをやってる間に、 もう日が暮れ出した。
一日の流れが早いね最近。
ラーメンなんか作ってなきゃもっと色々出来たかもだけど
状況的にすぐに攻めてくるとは考えずらいからね。
今日はオレが余裕こき過ぎただけで
夜にヤれば狙撃されなかったかも。
でもそれはソレで魔導の範囲が把握しずらいんだよね、
“触媒” も認識しずらくなるし、 儘ならないな全く全く。
スフィ公とユニコーンは森に帰らせた。
ユニ公だけなら村に連れ帰れたが依怙贔屓で
泣かれても困るので一緒に森に放つ。
ケンカすんなよ、 腹減ったからって喰うなよ。
さぁ~て、 コレで莫迦共が全員引き上げてくれりゃあ良いんだが、
「絶対諦めない!」 とか勝手な熱噴いて向かって来るヤツが一定数いそうだな。
『正義』 に酔ってるヤツってどこでもそう。
夢想に囚われてその現実が視えてない。
だったらイイ、 そのキレイゴト諸共叩き潰してやるよ。
勝ったヤツが全部持ってく、 ソレで良いんだな?
容赦しねえぞ――。
「魔皇さま?」
余程邪悪な貌になってたのか、
サーシャが怯えながらも心配そうにこちらを見上げた。
その柔らかい杏子色の髪をくしゃっと撫でる。
「わふっ」
そう、 オレは魔皇だ。
スベテの 「価値」 は、 オレが決める、 決められる。
テメーらクソ共の命1万より、 こっちの方が大事だ。
さぁ、 どう出る? 勇者共。
此処まで辿り着いてみろよ?
「私を斃せたら、 の話だがな」
この世界に来てからずっと一緒いたヤツが傍らに立つ。
どちらが言うでもなく、 オレ達は握った拳を合わせた。