Жー58 拉麺異世界紀 ~Timeless Storage~ ④
無論、 「静止空間」 限定。
時間を止めるって言っても
宇宙全体止めてるワケじゃないから
どこぞの 『世界』 みたいなコトは出来ない。
あくまで無限に在る亜空間上の、
その 「一部」 を停止させてるだけ。
当然 「生き物」 は入らないしオレ自身も入る事は出来ないから
戦闘には全く以て使えない。
あくまで 「格納」 で在って、 最強でも無敵でもないから
「最高にハイ!!」 ってヤツになど成り様がないのだ。
『時空を司る神々』、 その “一柱” の目溢しなんだって、
「無生物」 限定で亜空間領域を使わせてやってるのは。
その他の 「調整」 含めて、 アビス曰く。
「元気があれば、 なんでも出来る」
「出来ねえよ!」
「出来ません、 おひいさま」
元の世界の大して好きでもないヤツの言葉を
腰に両手を当てて若干反り返ってみるが
即座に現地の人間から否定された。
出来ねえってさ、 アンタが絡むとロクな事にならない
格闘興行と同じで。
通常、 魔導は 『魔導書』 ってのがあって、
ソレを熟読して術式を完全に理解しないと遣えないんだってさ。
しかもソレに描かれてる文字にも特殊な加工が施されていて、
それぞれ一定以上の魔氣《力量》や魔那《属性》がないと解読ないんだって。
他にギルドや神殿の魔導球体で修得出来なくもないんだけど
過程を省く分大量の金が必要、
そして当然該当レベルに達してなきゃ
覚えられないんだって。 コレは異能と一緒。
どーでもいーけどラーメン啜る音うるせーな!
あ、 相方 「替え玉」 ? スープも新しくしましょうか?
味玉と薬味も追加出来ますが?
なんか店員でもやってける気がしてきたよ。
そんなこんなで 『異世界麺厨房・メタトロン (仮)』 は大盛況の内に
幕を閉じましたとさ。
麺もスープも空ンなったわ、 大分作り置きしてたのに。
奴隷クンもスープ一滴残らず平らげてさり気に代わりを
置いとくといつの間にか空になってる。
ソフィアが細身の躰で5杯もお代わりしたのが意外だったな。
サーシャも満足いったようで幸せそうな表情の周りに
花がほわほわ浮かんでる。
残りの莫迦4人は、 まぁ放っとけ。
腹が真冬のフグみたいに膨れて仰向け以外の
体勢が出来なくなってやがる。
いま魔物に襲われたら絶対死ぬな、 コイツら。
さて、 飯も喰ったし穏やかな午後の日差し、
此処で日向ぼっこってのも悪くないけど
ヤる事あるからね。
相方に話して絶対戦わないって約束で
渋々OKしてもらう。
んじゃまちょっと行ってきますか。
準備運動を終え 【境界】 の方に眼を向けた。
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