Жー58 拉麺異世界紀 ~Timeless Storage~ ②
「アンタ食事に 【毒】 でも盛ったのか!?
英霊と賢者の女以外全員涙流して固まってんぞ!!」
「あぁ~、 気にしない、 気にしない、 そーゆー料理だから」
「どんな料理だよ!」
ふと眺めると正に滂沱の極致ともいうべき様相で
元の世界じゃ放送出来ない惨状となっている。
セリナなんか美人の部類に入るのに
これじゃ残念系のバラドル路線一直線だな。
ラーメンをフォークなんかで食べるからだ、
愚か者め。
「し、 し、 し、 信じ、 られねぇ……」
「この世に、 こんな美味しいものがありまちたとは……
獣神しゃま、 ありがとうございましゅ、 ありがとうございましゅ」
「これが料理だって言うのなら、 私が今まで食べた物って
一体何だったの……?」
「冒険者になって稼いだら喰いてぇモンは山ほどあったが、
そんなモンとは比べものにならねぇ。
俺が喰いたかったのは、 コレだったんだ……!」
大袈裟なヤツ等め。
コレに炒飯と餃子でも付けたらたぶん死ぬなこいつら。
あと奴隷、 麺が伸びるからとっとと喰え。
スープ冷ましたら殺す。
料理に善も悪も敵も味方もない。
ただ美味い時と不味い時があるだけだ。
故にソレを蔑ろにする輩は万死に値する。
暗に 「お仕置き」 を匂わせてるから観念したように
両手で丼を持ちゴクンと飲む。
「ぐっ……!?」
ハイ、 アウト~、 おまえのだけ 【毒】 入り~、
ってウソだけどね。
ちと塩角立ち過ぎか?
でもなきゃないで味がダラけるからな。
あ、 相方、 胡椒取って。
「く、 喰いモンの味なんか、
今までロクに気にした事なかったが、 コレは……
それに少しだが 「魔氣回復」 と 「身体増強」 の
付与まであるじゃねえか!
こんなモン奴隷に喰わせるとか一体何考えてんだ!? アンタ!」
あ~、 もういちいち奴隷、 奴隷うるせーな。
蔑んで欲しいのか持ち上げて欲しいのかどっちなんだよ?
今日はここまでです。