Жー56 魔皇の喚問 ~Demon Lord´s Query~ ④
「フンフン、 この “セフィーリア” とかいう莫迦女が一連の首謀者か。
爺ちゃんと同じ 『神託』 持ち。
赤髪赤眼って生理的に無理なヤツだな。
頭悪そーだし。
でもって “勇者の末裔” ね。
オレらの世界じゃ何でも出来るけど突出したモノが何もない
「器用貧乏」 で、 ブッちゃけ性能は微妙だったけど」
「アンタの世界にも勇者がいるのか!?」
「いるよー、 有名どころじゃないのがわんさかと。
最後は “クズ勇者” ってのが流行りの異世界転生だったね」
人じゃない皮の紙に羽根ペンでサラサラ書き込みながら
情報を統合する。
何か若干会話がすれ違ってる感じがしたけど
気にしない、気にしない。
「ん、 まぁいいや。 こんな処で。
オレ一人で唸ってても仕方ないし
ここからは相方と爺ちゃん達で意見の擦り合わせだね。
おい? ソコに居るヤツら入って来い」
魔導とも言えない軽い魔氣で指をくいっとやると
離れた両開きの扉が開く。
同時にバタタ、 というベタな音を立てて人垣が崩れてきた。
実はさっき一回出掛かった時もう見えてたんだけど
部屋の空気的に流すしかなかった。
カリム、 ガルフ、 セリナ、 ファムの順、
まぁ隠そうともしない魔氣と魔那がダダ漏れで
バレバレだったんだけど、 魔皇の聴覚と嗅覚もあるしね。
藁だらけの床でバタバタする4人を後目に
相方とソフィアがひょこっ、 と登場。
こっちは解んなかったわ、 完全に気配消してたから。
ソフィアの手からピンクの物体が猛スピードで飛び出し
腰からグルグル回りながらオレの肩でピタリと停止する。
『ママ……♡』 じゃねーよ、 いい加減魔皇離れしやがれ、
アビスが脳内でうるせーし。
さて、 まぁ約束は約束だ。
凍結魔導を解呪し軽く炎熱で温めた後、
千切れた脚をその切断面に持っていく。
『魔薬』
夜に融けるような黒い光が掌から放出され、
砕けた骨と肉を接合、 その破損個所を再生させていく。
多分神経まで繫がる筈だけど失った血液までは元に戻らない。
その貧血くらいは我慢してもらおうか。
疵が疵だから通常より念入りに行使う。
一応浄化の魔導も掛けとくか、 スフィ公の唾液と胃液経由してるし。
『窓 ノ ナ カ ノ 粉 雪』の簡易版だけど。
「な……」
「どうよ? 動くか? 多分立って歩く位までは回復出来た筈だけど?」
おそるおそるといった感じでギードが立ちあがる。
〇ララが立った! って感動のシーンには程遠いけど
信じられないって顔してるわ。 後ろの4人も同じだけど。
「ほれ、 歩けるんならとっとと付いて来い。
何で治した? とか殺さない? とか〇〇みてーなセリフは吐くなよ?
“奴隷” は生きて歩けなきゃ使いモノにならねーからだ」
そう言って指先を弾くと雁字搦めの鎖がバラリ、 と解ける。
コイツにはまだまだ 『利用価値』 が在る。
徹底的に搾り尽して骨まで毟らないとね♪
そんなワケで栄えある奴隷クン一号にウインクすると
顔が真っ青になった後ちょっと赤くなってた。
なんで?
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