Жー54 魔皇の噛痕 ~Dear Junk&Trashes~ ④
「帰りは大丈夫でしたか?
下賤な輩に後を付けられたりは?」
ハイ・エルフの女性が眼鏡を直しながら問う。
「付けられる処か襲われたわよ。
全員剣の錆にしてきたけど」
「冒険者ってバカだよねぇ~。
相手と自分の力量差すら解らないんだもん」
「愚かな事です。
“勇者の末裔” に手を出そう等と。
此れだから下賤の者というのは」
二人のやり取りを少女は無垢な笑みで見つめている、
数人を斬殺した後とは想えないほどに、
可憐な炎を想わせる容貌は翳る事が無い。
“セフィーリア・E・アシュリナーダ”
第九星界、 サジタリアス出身。
若くして 『光 輝 齎 す 者』 序列第七位に擁立される
「人間」 の乙女。
其の “天職” は『魔導騎士』 で在るが
近い将来、 【神職/勇者】 に昇るのは確実とされている
大器で在った。
そして其の同胞の者達も。
「ガディス・ガルバルディ」 第二星界、 トーラス出身。
“天職” 『魔拳格闘士』 序列第八位。
「シルヴィス・U・サティアーラ」 第十一星界、 アクエリアス出身。
“天職” 『法印弓術士』 序列第九位。
「リリム」 第十星界、 カプリコーン出身。
“天職” 『漆黒魔導士』 序列第十位。
「クリス・M・クロフォード」 第七星界、 リーブラ出身。
“天職” 『星光聖剣士』 序列第七位。
魔の森の静寂は一時――。
魔皇の挽き掻きし血肉の轍を境界に、
光と闇が交錯する。
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