Жー53 被虐のノエル ~Drug Maltreatment~ ③
「MISSION COMPLETE」
取り敢えず今日の分は。
支配下に在る魔獣に命じてあるモノだけ吐き出させる。
ヤツの持っていた “封具”
状況から類推するに “ハグレ” を高確率で使役出来るらしいが
詳細な分析は集落に帰ってからでイイか、
ソフィアもいるし。
眼の前に振ってきたソレをパシッと掴み不敵に笑う。
ボコられた痛みなんぞどうでもいいわ。
等価交換、 等価交換。
楽してチートでハーレム作りたいとか微塵も想わねーし、
それに群がる〇〇〇〇《ピーッ》にもなりたくない。
殆ど思い通りにイったし予想外の収穫も在った。
コレで大多数のヤツは明日から集落に近づけもしなくなる。
幸先が良い、 まずは先手を打てた、
オレの正体がバレるコトもなく。
って人がカッコつけてるのに、 オイ?
「いいから横になって姫! 傷の手当てするから!
あぁもう! 何でソフィア頼みで魔導の修得しなかったんだか!
本当にバカだわ私!」
「姫しゃまよかったですニャ~!
みんなで、 みんなでお家に帰れますのですニャア~!」
「クッソ、 泣いてねぇ~ぞ!
テメーの弱さが身に沁みて情けねぇだけだからな!」
泣いてんじゃねーか。
ってかオメーら顔にポーションぶっかけた後
包帯ぐるぐる巻きでオレをミイラにでもするつもりか?
ついでにミウまで一緒になってるぞ。
あと毒が消えねえチクショー、 って今気づいたのかよ、
遅過ぎ。
ったくしょーがねーなコイツらは、
ってコトで指をパチリッ、
巨体でこちらを見据えている女面獣が何かを吐き出す。
「え? コレ、 “泡沫” ?」
地面で銀色に光るブローチ型の魔道具。
オレらが持ってるのより遥かに小さい。
ちょっと汚ねーけどソレ使えよ、 アイツが持ってた魔道具、
ほれ水で洗ってやるから。
毒蛇を遣うんだ、 万が一に備えて強力な解毒剤くらい入ってるだろ?
まぁ無いなら無いでテメーの魔導でなんとかするがね、
“自分を毒で破壊する” ってコトで
『原初魔導』 の創成条件は充たしてるし。
ほれ、 こんな風に。
~§過ぎ去りし落日に 痕るは遠き此が諦念§~
~§抱かれし片割れに重なるは 予て幽けし我が双影§~
『窓 ノ ナ カ ノ 粉 雪』




