Жー51 魔 導 決 壊 ~After Effect~ ③
「 “箱庭” を見たのは初めてか?
魔物を閉じ込めたり余計な邪魔が入らねーようにする時
遣うんだよ。
周りの人間を巻き込むと何も解ってねーバカ共が
後からギャアギャアうるせーんでな。
その為に創成された “封具” さ」
険悪な表情で己の異能を誇示する男、
よく見るとオレ (の身体) とそんな歳変わんねーか、
力量と言動が酷くアンバランスに感じる。
どうやら余計な邪魔ってのが入らないように展開したみたいだな、
ブッちゃけ弱ってるオレに使う意味ねーし、
増援が来る気配もないし潜んでたのに一人ってのが
ソレを証明してる。
「狙いはオレだけだろ? 他のヤツは見逃してやれ」
片手を上げて女二人を制しながら立ち上がる、
そのまた後ろで震える身体を無理矢理引き起こそうとしてる
莫迦いるしな。
まぁ、 聞く気はねぇだろ、 オレを炙り出す為だけに、
森に火を放ち人間を駒にし巨大な魔物を
無差別に暴れさせようなんてヤツらだ。
全部殺したオレが言えた義理じゃねーがな。
想わず嗤うと向こうも同じ表情を浮かべる。
と同時に眼前で弾ける一抹の光、
異能か、 “解析” だな、 オレには効かねーけどソレで解るコトも在る。
「どうやら本物で間違いねぇようだな。
大規模火災を消し止めるような莫迦げた魔導力。
ソレに伴う機転、 異界の知識。
何よりオレの魔物《下僕》を3匹同時に狂わせ
尚且つ他の人間まで操った事実!
テメーが魔皇! ノエル・L・メタトロンかッ!
まさか本当にこんな若い女だとは想わなかったがな!」
“獲物” を見つけた感奮とソレを逃すまいとする焦慮で
頬が紅潮している、 メタル〇ング見つけた時みたいなモン?
もう斃すコトは決定事項なのね。
自分が殺られるとは微塵も想ってない。
にしてもこいつらにはオレの姿と名前まで割れてんのか、
ハクエイの爺ちゃんより上の “神託” の遣い手がいるか、
最初の城から情報が漏れたか、 だな。
口内に溢れる血をゴクリと飲み込みながら
爪を伸ばし戦闘状態を執る、
未だ仕掛けてはこないが一応威嚇にはなるだろ。