Жー48 刈り取る者 ~One Hand Dead~ ③
「お、 恩人はどーすんだよ! サーシャは! 長老の爺さんは!」
「その目標から屑共遠ざけるには、 『標的』 が離れた方が得策だろ?
でもって相方は諦めの悪い莫迦共から村を護るには打ってつけだ。
何しろ 『英霊』 だし無差別に魔導ブッ放すオレよりは被害も少なくて済む」
不思議だ。
自分でも 『合理的』 な発想がスラスラ浮かんでくる。
善悪や倫理や情動は完全に無視してるけど。
コレが魔皇の 『精神』 ってヤツか?
孤独を感じる以上に冷え切っている。
自分が自分じゃ無いみたいだ。
ソレともコレがオレの 【本性】 なのか?
「私行くわッ!」
既に未だ視ぬ 『中層』 のシュミレートに入っていたオレの脳裏に
甲高い声が響き渡った。
おまえ、 いまいちキャラ薄い割にこーゆー時は大胆だよな、 セリナ。
ソフィア抜かせば一番頭良さそうなのに実は一番ネジ飛んでるのも
おまえなんじゃねーの?
「理由は?」
ここにきてグダグダ感情論戦わせても仕方ないので
志望動機と理由だけ訊く。
なんか 「面接」 みたいになってきたな。
「姫を一人にさせられない。 ハーフ・エルフを放っておけない。
“奴隷狩り” なんかするヤツは全員死ねば良い、 以上!」
ほうほう明快な理由だねぇ、 元の世界じゃ人権派のババア共が
キーキーうるさそうな話だけど。
流石は人の生命が軽い異世界、 若くてこーゆー娘も出てくるワケか。
その意気や良し、 オレは嫌いじゃないよ。
「ファ、 ファムも同じですニャ! だから村まで一緒にお連れするのですニャ!
姫しゃまが居なくなったら、 旦那しゃまが悲しむのですニャ!」
あぁ、 そーゆー話だったっけ?
アレを落とすのは相当苦労すると想うけどね、
邪険にはせんだろうが。
でも半分以上理屈になってねーな。
オレが村に戻る根拠がねーし。
まぁ別にいいけど。取り敢えずそのあざとい涙目やめろ。
何が悲しい? 全く全く。
「……」
ハイ、 んでどーすんのよ? カリム。
能力がヤバ過ぎて作者にボートへ乗せてもらえなかった
ギャングの一員みたいになってるけど。
魔皇御一行、 殺戮虐殺ツアーは間も無く締め切りとなりまぁ~す。
俯いて拳震わせてるだけだと乗り遅れまぁ~す。
まぁ来た処でイイ事なんて何もねーけどな。




