Жー48 刈り取る者 ~One Hand Dead~ ②
「「「――ッッ!!」」」
おぉ、 いいよいいよぉ~。
「え!?」 とか 「な!?」 とかましてや 「うわあ!」 とか、
ラノベの〇〇主人公張りにウザイ反応取らなくなった分
成長したねおまえらも。
お母さん嬉しいよ。 なんでミウが泣いてんのか知らんけど。
真っ先に反論しそうなカリムが無理に口を噤んで
続きを待ってるのを見ると、 状況への対応は悪くないね。
オレがまず結論を口にして後から補足する傾向を掴んでるみたいだ。
おそらく理性的にではないけどね。
「無論、 今言ったのは最低人数。
数は多ければ多いほど良い。 目的は完全な 『見せしめ』 だから。
故に 「標的」 の 『選別』 はしない。
依頼書に記載されたエリアに居るヤツは、
問答無用でハーフ・エルフの敵として始末する。
異論は認めない。
付いてくるか来ないか、 ここではっきり決めろ。
今ならまだ、 おまえ達だけなら降りるコトが出来る」
それだけ言って腕を組み樹に凭れる。
この足元の根がおまえ達のボーダー・ライン。
普通の冒険者として生きるか魔皇の従僕となるか。
オレも今朝起きた時はそんなつもりは無かったが、
『状況』 がソレを赦してくれない。
――かなり長い時間が経過した。
その間オレは一言も発さず助言も譲歩もしなかった。
正直見切りをつけて一人で行っても良かったが、
何やら真剣に話し込んでるので待った。
出逢ってまだ一日足らずの連中、
しかも相方経由なのに何でこんなコトになってんだか?
誰か教えてくれオレは知らん。
「一つ、 いいか?」
カリムが傍に寄ってきた。 結論が出たってカンジじゃないな。
「仮に、 姫の目論見通りに事が進んだとして、
村には、 帰るんだよな? 一人で、 どっか行ったりしねぇよな?」
「……」
チッ、 こーゆー脳筋はたまに鋭いからな。
『本能型』ってヤツか? 60巻も出て一国も統一してなかった
某王国漫画と一緒で。
沈黙が答えになっちまったか? まぁ正確にはコイツがいるけど。
「ミュ~♪」
意味も解らずすり寄ってくるスライムが頬に冷たい。
「魔皇とハーフ・エルフの関わりが “神託” なら、
しばらくすればまた情報が 「更新」 される可能性は在る。
中層まで潜った魔皇が、 単独で無数の竜ブッ殺した、 とか?」
怯えたように押し黙る褐色の青年。
おいおい、 オレはおまえらの 「仲間」 でもなんでもねーぞ。
一日前会ったばっかの、 謂わば無用のトラブルだ。
なのに何ビビってんだよ? そんな 『本当の仲間』 みたいに。
今日はここまでです。




