Ж-47 刹那の邂逅 ~Cross Distortion~ ②
「おぉ~、 待たせたな。 Bランクだと色々融通してもらえるのな。
優先的に回して貰えたぜ」
革紐で結ばれた依頼書を振りながら戻って来た、
ちょっと棒読みっぽいぞ、 イケメンなのに演技が残念なヤツだ。
歌がヘタなアイドルってのもいるけどな。
真っ先に受け取り中身を開く、
まぁこれくらいは怪しまれないだろう、 ソフィアの代わりってコトで。
羊皮紙に記載された文字は手書きっぽいが多分魔導だな。
そうじゃなきゃこんな短時間で大量に配布なんて出来ない。
無駄に金掛けやがるぜクソ共が。
――で、 何々、 ほう? なるほど? ふぅ~ん?
ってかミウ邪魔! 頬っぺたまで異常接近しなくていーんだよ!
おまえ言葉は解るけど字ぃ読めねーだろ!
オレは魔皇の知能があるから解るけど!
「ママといっしょ~」ってやっぱソレが目的じゃねーか!
どいつもこいつも主旨履き違えンな!
「おい! おまえら本気なのか!」
あ、 ダインっていうおっちゃんだ。
さっきと打って変わって怒ってら、
まぁ大体予測は付くけど。
上手くやれよカリム、 こうなるコトは想定の一部だったからな。
「ハーフ・エルフが! あんな大火事を起こしたなんて本気で思ってるのか!
セリナ、 おまえも同意してるのか!
おまえはそんな女じゃないと、」
もうおっちゃんじゃなくておとうちゃんですな。
オレらの世界にも昔はいっぱい居たらしいよこーゆー人。
年号が二つ変わる前、 今じゃ絶滅危惧種らしいけど。
「しぃ~」
一頻り喚かせた後カリムが指を口元に当ててホールの片隅を顎で差す。
オレのやり方真似たのか、 機転はいまいちだが物覚えは良いなこいつ。
残念系イケメンから残念取ってやろうか?
今の立ち振る舞いも中々スマートだ。
大広間の端っことはいえ10人近い人間が屯してればそれなりに目立つが
どこもかしこも似たような事やってるから問題ない。
耳を澄ますと胸糞の悪いハーフ・エルフの捕獲法が聞こえるが
態度に出るとマズイので一時遮断する。
まずカリムが手で軽く謝る仕草をした後で口を開く。
今日はここまでです。




