Ж-47 刹那の邂逅 ~Cross Distortion~
ホールの受付カウンターに冒険者が殺到している。
アビスやセリナの解説によると 『特別ミッション』 というのは
王族、 貴族、 軍部やギルド上層部等が不定期に発するモノで
通常の 「クエスト」 とは区別されるらしい。
その分報酬も破格でパーティ・ランクに関係なく受領出来る特例も在るそうだ。
噴いて沸いたボーナス・ステージ、 金や道具も然ることながら
大幅なランク・アップが見込めるなら莫迦共が大騒ぎするのも解らないじゃない、
他者との競争心がソレを煽る。
御苦労なコトだ、 殺されるとも知らずに――。
「にしても凄ぇな、 アノ 『光輝齎す者』 直々の特別ミッションとか。
俺始めてだぜ」
「第六や第九のお偉いさんとも繋がりがあるらしいからな。
顔が売れればデカイ山にありつけるぜ」
「しかも相手は “ハンミミ” だろ?
それにしちゃ報酬が良いし笑いが止まんねーな」
「おいおい、 勢い余って殺すなよ?
生け捕りにした場合と金が数倍違うんだからな」
「しかも用が済んだらこっちに “払い下げ” なんだろ?
ゲキアツな条件だな」
「売り飛ばすも良し、 奴隷として使い潰すも良し、
本当に捨てる所がねぇからなハンミミは」
あぁ~、 今殺っちゃってイイかなぁ~?
でも我慢だオレ、 頑張れオレ、 面は覚えたからいつでも殺れる。
こんなんでもオレの 「作品」 の一部だ、 丁重に扱え、
某虎の眼の流派みたいに。
「姫しゃま、 爪、 爪が伸びてますですニャ!
肉球に当たってチクチクしますですニャ!」
おぉ、 悪ぃ悪ぃ猫幼女、
人見知り残念女のキャラ全うするため手ぇ繋いでくれてたんだよな。
セリナがたまに代わってぇ~、 ってうるさいけど華麗にスルー。
主旨変わってんだよおまえの場合、 「絵的」 にも意味合い違ってくるだろ!
カリムはミッション受注するため長蛇の列に並んでる、
そろそろ帰って来るだろ、 本人は怒り心頭という様子だったけど
ソレは顔に出さず微妙な面しとけって助言しといた。
その様子もチェックされてる可能性があるからな、
まぁ念のため。




