Ж-6 原 初 魔 導 ~Everlasting Stories~ ②
おお! 凄ぇ凄ぇ!
宛ら棒高跳びの限界突破とでもいうべきか、
異世界の能力を利用した跳躍力のスゲェ事!
どれくらいスゴイかというと城門の前で待ち構えてた
騎士共を素通りしてその頭上を城壁ごと飛び越えやがった!
お空の空中散歩ってレベルじゃねーぞ!
某有名宇宙人映画の誰でも知ってる場面を彷彿とさせる
驚愕の空間移動! まぁオレは途中で飽きて半分も観てないがね。
それは良いとして冷たい夜風に二人の髪が舞い踊る、
あぁ、 今気づいたけどオレ 「銀髪」 だったんだ。
まぁ完全な銀色ではなく全体にピンクがかってるから
銀桜色とでもいうのかもしれんが。
こうなると容姿が気になるわぁ~。
世の中には後ろ姿だけじゃなく髪が異常に美しいにも関わらず
〇〇〇な女いるからね。
「って、 うお!?」
「むぅ!」
そんな考えが否応なく眼に入った存在を前に消し飛ぶ。
天空に浮かぶというよりただ浮くみたいな
超巨大な月! 余裕で地球の数百倍はある!
でもそれ以上に驚くのはその色彩、“紅い月” だ!
何が通常の3倍有るかしらんが
想わず〇だああああああああああああ!!
とか叫んでしまいそうな、 真っ赤な月。
「凄、 ぇ……」
「うむ……」
先刻、 リュカが繰り出した槍技で
空を跳んでいるコトも忘れてしまうような、
真紅の巨星。
何か、 誘われるような、 呑み込まれそうな、
今にも溶けた鮮血と共に堕ちてきそうな畏怖が
否応なく沸き上がって来る。
――おまえがオレを、 呼んだのか――?
何の根拠もない思考が、 ランダムで明滅する。
刹那、 鼓動が、 心臓とは全く別の場所で脈打った。
“囁きが、 聴こえる……”
跳躍の落下点が迫って来ている。
城門を抜ければその先は城下町。
当然扉は閉ざされているだろうから
逃げ場を失えば捕縛されるだろう。
“囁きが、 聴こえる――”
再度槍技を放とうとするリュカの前へ迫り出すように、
オレは左手を地表に向けて差し出す。
「 “不 夜 ノ 旋 風” 」