Ж-45 白 き 闇 ~Absolute Justice~ ②
「だから! 森が燃えてんだよ!」
「俺も見た嘘じゃねーよ!」
「そんな報告は入ってません!」
「ここもいずれ燃えちまう!」 「結界で護られてるから大丈夫です!」
「そんな事出来るわけが!」
「どこの初心者だ森で炎熱なんかブッ放したバカは!」
「すぐに魔導士召集して部隊向かわせてくれよ!」
「もうそこまで来てる!」 「クソが!!」
「テメーらだけ助かりゃいいのか!!」
「マルロとアーサーが帰って来ねえ! 誰か知らねーか!」
「昨日飛ぶワイバーン見たってヤツいるぞ!」 「いや途中で止まったって、」
はぁ、 なんかもうムチャクチャやね。
魔皇の聴覚だと全部はっきり聞き取れるから逆にキツイわ。
ほれ、 その危機を救った英雄サマの御成りだぞ、
道を開けろ莫迦共。 なんて太々しい態度を取ると目立つから
カリムの背に隠れる。 後は 「はわわ」、 とか言ってりゃ完璧なんだろうが
フードで顔隠してるし流石にあざといか。
「おう! おまえらも来たか!」
デカッ、 人間にしても肩幅広い、 血色の良いおっさんが話しかけてきた。
当然一人じゃなく5人パーティー、
男3女2って構成。 唇ブ厚くて人懐っこい顔だけど
頭結構ハゲてんな。 まぁあーゆーのは 「隠そう」 とするからカッコ悪いんだけど。
そーゆー奴は髪あっても他の欠点がダダ漏れなんだけど。
「ダイン! 無事だったのか、 よかった」
カリムが本当に心の底からホッとしたように息を漏らす。
頭は残念だけど性格は良いよなコイツ。
「今日は真逆の方にクエスト行ってたからな。
俺の悪運もまだまだ捨てたもんじゃねぇようだ。
おまえらこそ姿見せねぇからちょっと肝冷やしたぜ。
Bランクに上がって運使い果たしたんじゃねえかってよ」
ぬかしやがれとカリムが獣皮で設えた鎧の腹を叩く。
仲良いみたいだな、 セリナとファムの空気も和んでいる。
「で、 そいつ誰だ? 他の奴等は?」
太い指でオレを差し遠くを見渡す。
おい? ちゃんとやれよ、 魔皇、 ノエルは疎か、
姫ですらNGワードだからな。
今日はここまでです。