Ж-44 燻 る 残 火 ~Rusted Ashes~ ②
「まず、 素早くアノ場から撤退させたのはオレの正体をバラさない為。
流石に魔導だってのはバレただろうけど相手にとっては想定外。
森の広範囲全域を無差別に焼き尽くすつもりだったんだから、
いきなり対岸から同様の火事が起こって困惑してる筈。
当然誰がヤったかなんて確かめる暇は無い」
「確かに、 あんな方法で火を消し止めるなんて誰も想像出来ないわ。
傍で見ていた私達でも驚いてるのに、
相手側からすれば嘘のような光景にしか映らない筈」
「相手の目的は解らない。 ただ 『神託』 の異能を介して、
明らかにソレを 「証明」 するような行動を取ってきてる。
昨日相方が斃したワイバーンも、
目的は解らなくても 「意図」 は同様だったと想う。
魔物と災害の違いはあるけど、 広範囲を攻撃するってのは同じだから」
「そこがよく解んねーよ。 何か探すにしても凍らしたり焼いちまったりしたら、
それこそ意味なくねーか?」
何で解んねーのかオレが解んねーよ!
猫幼女はちょっと理解してるっぽいのに!
「だ・か・ら、 相手はハーフ・エルフの隠れ集落の場所なんか知らないんだよ。
そっから出てきた 『オレ達の視点』 で考えるな。
頭の中まで炎上してる、 どっかの莫迦集団じゃねーんだから」
「え? え? え!? ってことはつまり、 なんだ?」
あ、 ダメだこりゃ、 ガチでこいつ1から10まで解ってねー。
一度ため息をついた後、 出来の悪い生徒へ言い含めるように告げる。
「魔皇とハーフ・エルフが、 “森で繫がってる” ってのが 『神託』 だよな?
でも魔皇の姿も正体も解らねーよな?
ましてや女の(姿の)オレが、 そうだなんて想像も出来ねーよな?
じゃあ一体どっちを探す?
数が多いハーフ・エルフの方に決まってるだろうが」
「ハァ!? ちょ、 ちょっと待てよ!
まさかそんな事の為に、 あんな大火事引き起こしたってのか!?
俺達も全滅しかけたのか!?」
やっとスタート地点、 ソフィアと相方大変だったろうな。
出来の悪い生徒がいると全然話が前に進まねー。
いまオレ、 元の世界の独身男の顔文字みたいになってるんだろうな、
こーゆーヤツだけど→('A`)