Ж-43 炎 劾 双 劫 ~W・Tyrant Fifth Flare~ ⑤
「そんなモンまで、 おまえが背負い込むこたぁねーよ」
カリムが器用にオレを担ぎ直しながら肩をポンポンとやる。
あ? 一体何言ってんだ?
「そ、 そうよ! 姫が魔導で炎を喰い止めなかったら、
火災が無差別に拡がってもっと多くの人達が死んでいた。
殺したんじゃなくて犠牲を最小限に喰い止めたのよ、
自分が立てなくなってまで」
え? そーゆー解釈?
罵倒や罵声の一つや二つは覚悟してたんだけどな、
さっきオレが散々飛ばしてただろ。
「ファムは、 難しい事は解りませぬが、
村に残ったガルフやソフィアを助けてくれて感謝してますニャ。
姫しゃまが、 ハーフ・エルフのお爺ちゃまや子供達を護ろうと
一生懸命だったのは解りますですニャ!」
ハァ~、 揃いも揃って底抜けのお人良し揃いかよ。
オレらの世界じゃ犠牲者出たら、 その可能性が在っただけでも
大多数に吊し上げ喰らってもオカシクないんだぞ。
安全地帯で無責任な正論吐くだけの莫迦共にだけど。
でもまぁ、 礼言っとく処なのか?
でも相方じゃなくてオレだからな。
「魔皇庇っても、 イイ事ないぜ」
それだけ言ってフードを被り直し、
カリムの肩で不貞寝を決め込む。
「魔皇じゃねーさ。 物凄ぇ魔導が遣える仲間、
ノエルを称えてるんだ!」
「ええ!」
「ハイ、 ですニャ!」
おまえら、 よくそんな恥ずかしいコト躊躇なく言えるな。
聞いてるこっちがムズ痒くなってくるわ。
どーでもいーけど尻触んな。
そーゆー趣味はねーって言っただろ。
宙ぶらりんの状態でカリムの後頭部に肘鉄をかまし
森のギルドへの道を急がせた。
NEXT PHANTASM…Ж