Ж-6 原 初 魔 導 ~Everlasting Stories~
異界の夜空に轟いた罵詈雑言、 悪辣痛罵。
別に 「ありふれた職業~」 の勇者が嫌いとか〇ねとか想ってない、
ないったらない。
うおお! ンな事言ってる間に 「目標」 がズームアップで迫ってやがる、
多分頭ン中でCAUTION! CAUTION! 言ってるンだろうけど
そこまで容量割く余裕ない!
なのでオレは眼下で迫る 「池」 に持った槍を突き出す。
「兄弟!!」
「応!!」
極限状況だから互いのテンションがオカシイのは
当たり前! 当たり前! 当たり前ぇ!
正気にては大業ならず!
つってもオレに深い考えなんか別にない。
ただ高層からのダイブでも 「池」 に飛び込めば死なないンじゃね?
ついでに着水の瞬間槍突き出せば衝撃分散されんじゃね?
ほらオレ一応 “魔皇” らしいし?
何か助けあるんじゃね?
……
ないわー、 何その 「ご都合主義」?
ラノベの冒頭でやられたら問答無用で押し入れの奥にブン投げるレベル。
多分一回死んで思考がズレた所で迷走してやがるな。
それと今更言えない。
ただ単に両手クロス、 ガッシャンがやりたかっただけなんて。
で、 そんなお莫迦なコト考えてたのはオレだけみたいで。
『螺 旋 槍 破ッッ!!』
頼れる相方が魔皇の眼でも捉えられない鋭さで突き出した
槍の先が水面に触れた瞬間、 まるで重力が逆流したみたいな
光景が視界に飛び込んで来る。
池の、 全面とはいかないけど三分の一くらいが
渦巻いて風呂の栓外したみたいに呑み込まれていく。
否、 厳密には流れてないんだけど全方位に寄っちゃったから
底が見えて周りから溢れ返る! 魚もいっぱい飛んでるよー。
「掴まれ!」
オレに眼も向けず技の威力のみで重力と激突との
緩衝地帯を造った少年が
然るべき結果を見越して本来の目的のために叫ぶ。
「ほいな」
元の世界ではまず在り得ない、
空〇科学読本とかだったら池どころか
城ごとブッ飛ぶ荒業をよくもまぁ、
でも 「剣と魔法の世界」 ならアリじゃね?
と半ば諦観した気持ちでリュカ君の外套を掴む。
池の水面が攪拌されるほどの、 渦旋型の貫突。
〇ラッディー・〇クライドも真っ青の落下が一時止まる位の
衝撃を集束して放ったら一体どうなる?
その 「反動」 は?
方向柁或いはクラッチを切るように彼が穂先を跳ね上げる、
と同時に素早く片腕でオレの躰を抱え込んだ瞬間、
凄まじい急昇が全身を覆った。