Ж-40 聖 魔 相 克 ~Final Bout~ ⑤
「なら、 適任は俺しかいねーな?
なぁ? ノエル?」
そう言って肩に回される、 やや細いけど力強さを感じさせる腕。
斧鉞闘士のカリムだ。
痩せの怪力ってこーゆーのを云うんだな、 血管浮きまくってるし。
髪の長い褐色系のイケメンだけど距離近ぇよ、
あと視線が暑苦しい。
「解ってると想うけど、 外じゃその名で呼ぶなよ?
オレを 『召喚』 した莫迦共への牽制も兼ねて
敢えて名前だけは露見してるから」
「了解、 姫」
手を払いのけるのを気にした様子もなく
降参ポーズのあと慇懃に跪いてみせる。
所作に無駄がないから案外イイトコの出なのかも、
まぁどーでもいーけど。
「兎に角、 まだ具体的に何か在るわけじゃないけど、
日に日に “ミエナイ包囲網” が狭まってるのを感じる。
昨日の “ハグレ” も今朝の莫迦共も恐らく偶然じゃない。
ソレぐらい決めつけて動かないと何も理解らない。
オレは相方みたいに甘くないから覚悟しといて」
【蔑 む 者 は 滅 す る】
「自分と何の関係も無いハーフ・エルフ。
それでもこんな子供を踏み躙ろうとするヤツは赦せない。
そう想うなら付いて来い」
見送りに来ていたサーシャの髪をくしゃっと撫で、
リュカの眦がピクッと動いたと同時
明らかに空気が変わる。
「魔皇部隊、 出撃……!」
「「「オウッッッ (ですニャ) !!!」」」
左眼の刻印が疼く。
疾く滅らせろと哭き続ける。
NEXT PHANTASM…Ж