Ж-40 聖 魔 相 克 ~Final Bout~ ②
「いいよ」
席を立ってその柔らかな頭を撫でてみる。
一瞬ビクッってなったけどすぐ本当の猫のようにゴロゴロと喉を鳴らしだす。
何となく手触りが気持ちいいのでワシャワシャ動作を繰り返すが
状況理解ってんのかね?
ほぼオレの所為で自由奪われてるのに、
ヘタすりゃ今朝ソフィアから聞いた
『光 輝 齎 す 者』 とかいう莫迦共 (独断!)
に殺されっかもしれねーのに、
寧ろ 「情報」 売りつけて自分は助かろうとか考えねーの?
「姫? 姫……、 いいわね。
“ノエルちゃん” じゃなんか馴れ馴れしいし
“Lさん” っていうのもピンとこなかったのよ」
「姫さん、 いいじゃねぇか、 俺は賛成だぜ!」
「は? ノエルでいいじゃねーか。 そんなこと気にしてたのか?」
おまえらも――。
ってか馴染み過ぎ。 一応奴隷設定だから同じ爺ちゃん家住んでるけど
此処はおまえらの下宿先か? オレはそこのお嬢さんか?
部屋数多くてよかったな! えぇ!?
「ほっほ」
そんな中、 対面に座る爺ちゃんが穏やかに笑みを漏らす。
それだけで騒がしかった周囲が鎮まる。
相変わらず求心力有り過ぎ、 オレなんかとは違う、 天性の人格者だよこの人。
「何やら、 昔を思い出しますな。
あの頃も、 早朝からこの場所は喧噪で溢れていた。
失礼、 その時の事を、 少し、 思い出しましたわい。
ほっほ、 ほっ、 ほ……」
天窓から注ぐ、 陽光に反射する煌めき。
そうか、 部屋数が多かったのって、 やっぱり――。
残りを強引に詰め込んで勢いよく席を立つ。
「今日はオレが外に出る。 誰も付いてくるな」
「あ、 おひいさま」
ソフィアが呼び掛けるが結果無視。
今すぐにでも暴れ回りてぇ。
……
屑共が、 罪も無ぇ者から、 次から次へと奪いやがって。
朝っぱらからガチで気分悪ィ、 殺す――!




