Ж-38 竜 魔 導 ~Dragon Wird~ ④
「そう……」
思いっきり疑惑の眼差しをオッド・アイで向けてきたけど
いや、 ソレで正しいよ、 本来のリアクション。
オレみたいなヤツ、端から信用しろってのが土台無理な話で、
相方とか爺ちゃんとかがちょっとズレてるんだよ、
サーシャはお子ちゃまだしね。
肩ですり寄ってくるコイツは、 まぁ魔物だからね。
ともあれ、 爺ちゃんにそっと耳打ちしすんなり了承をもらう。
「護衛クン、 宴の準備。 自由参加だけど適当に声掛けといて」
「は? ははっ、 畏まりました魔皇様」
オレ、 ってより爺ちゃんが頷いたから。
結構打ち解けてるんだけど未だ名前知らないんだよね。
何となく訊きそびれてるっていうか、
元の世界でもあったなぁ、 そーゆーの。
美容院でよく喋る人の名前知らないとか。
「サーシャも子供連に伝えてくれる?
お菓子あるけどいらねーんならオレが喰っちまうぞ、
って付け加えておいて」
「は、 はい! 解りました魔皇様!」
なんのかんので一番仲良いのはこの娘だね。
他のガキもなんか知らんが寄ってくるけど
ガーッ! とかやると結構ビビる。
笑ってるのサーシャだけ。
ミウがヤキモチ焼くけどさ。
「どういう事か、 御聞きしても?」
「君なら解ってんじゃないの?」
双色の瞳を持つ少女にオレはすげなく返す。
周りは面食らってるけど相方が 「歓迎会」 的な事を開くと
説明して頻りに遠慮している。
いやオレらの為に受けて欲しいんだがね。
無論明確な提示はしない、 「相方の竜討伐」 でも 「オレの魔導修得」でも
「多量の物資搬入」 でも 「ただなんとなく」でも、
村人にはそれぞれ勝手に判断してもらう。
ソレで奴隷とはいえ 【異物】 が入って来たという事実は
軽減、 結構有耶無耶に出来ると想う。
彼等は此処に留めるんじゃなく、 寧ろガンガン 「外」 に出て
相方の情報収集に協力してもらうつもりだから。
何ならリュカを 「冒険者」 にしてSラン目指してもらっても構わない。
ソレで最悪の事態が起こっても数名は助かるだろう、
絶対反対するから言わないけどね。
さぁて、 小さいけど賽は振られた。
どう出る? 屑共?
来ないのが一番良いんだけどお前ら莫迦だからソコは一切期待しない。
来るなら来い、 鏖 にしてやるよ――。
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