Ж-38 竜 魔 導 ~Dragon Wird~ ②
ヤベッ、 想わず口に出ちまってたわ。
村の真ん中の広場、 本来自分の異能なんか他人に見せるモンじゃないけど
予期せぬ来訪者を “奴隷” だとアピールするのと
改めてオレの魔力を見せつけるコトで
少しでも混乱を防ぐため敢えてヤってる。
本来は 「新たな魔導が目覚めた!(≧▽≦)」 とか嘘こいて
適当な魔導でお茶を濁す予定だったけど本当に手に入っちゃったよ。
いいのかねこんなので、 斃したの相方でオレは何もヤってないのに。
まぁ努力が必ず報われるとは限らんけどさ。
でもラノベによくあるヘタレやボンクラ主人公みたいには
なりたくねぇなぁ~。
≪CAUTION!≫
「メタトロン様――」
脳内と聴覚で二つの少女の声が重なる。
相方の “嫁” 候補、 白尽くめの魔導士、 ソフィアだ。
「解析」 したアビスちゃん曰く若くして 『賢者』 の
“天職(職業とは区別される)” に付いているらしく
多種多様な魔導を高いレベルで使い熟せる。
よって器量、 血統、 才能共に将来性は充分、
『英霊』 の花嫁の一人として申し分はないらしい。
まぁそこら辺は本人同士のコトだから若い二人にお任せして、
え? オレ? 別に気にせんよ、
顔立ちは元の世界でもちょっといないくらいの美男子だから
フツーにモテるでしょ、相方、 え? そーゆーコトじゃない?
この間僅か0,5秒、 いやぁ~便利だわぁ~、 異能 『思考超加速』
「僭越ながら申し上げます。
【竜魔導】 は “竜属” の卓越した叡智を携える
極めて少数の存在しか行使するコトの出来ない高等魔導です。
元が竜属の魔氣と魔那に特化させた魔導故、
その魔力の消費量は並の魔導の遠く及ぶ処ではありません。
ワタシ達賢者の間では 【禁呪】 とされ決して遣ってはならぬと
戒められています。 発導の際にはどうか御自愛の程を」
スゲー、 ワンブレスで淀みなく言い切ったよ、
聞き取れるオレもどうかと想うが。
他のお仲間はまだ 「魔導名」 で思考が止まってるのに。
流石は “賢者” 、 魔導の知識だけじゃなく
その名の通り単純に物凄く頭が良いのね。
オレの異能と名前を視て聴いただけでほぼ完璧に
状況を判断、 分析し解答と推論にまで至った。
「情報」 を与えられれば誰でも出来るコトだけど
ソノ 『処理速度』 が常軌を逸している。
早押しクイズに一秒で正解してるようなモンだね。
今日はここまでです。