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Ж-37 魔 皇 少 女 ~Chaoslinger Girl~ ③
「御老は? このような事態になってしまった為、
まずは謝罪と詳細を報告したい。
村の動揺も治めねばならぬしな」
周囲をぐるりと見渡すと、 都では信じられない位の
首輪が無いハーフ・エルフ達が遠巻きに様子を伺っている。
長い、 永い間積り積もった他種族に対する 「積年」 の憎悪は
多少物資を供出した程度では決して晴れたりはしないだろう。
ワタシが直接差別したわけではないが、
それでも彼等に申し訳ないという気持ちでいっぱいになる。
現状、 ハーフ・エルフを蔑む冒険者の方が遥かに多いのだから。
その彼等に対し親指でワタシ達を差しながら軽口でも叩くように、
「あぁ、 こいつらオレの “奴隷”
徹底的に搾り取って使い潰すんで、
手出ししたら殺すから」
霞む夕闇に映える、 涼風のように澄んだ声。
「はは! 仰せのままに! 魔皇様!」
勝手に奴隷にされてしまった事よりも
狂いなく揃ったソノ最後の言葉に、
ワタシは卒倒しそうになった。
「もう少し他の言い方をすれば良かろうに」
伴侶が額に手を当てながら呟いた。
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