Ж-34 至 宝 の 一 玉 ~Primal One~ ③
「アンタ、 “ギルドカード” は、 持ってねーよな?
じゃあ 『討伐ポイント』 はオレらのパーティーに入っちまうが
それでいいかい?」
「構わぬ、 手数料も言い値で構わん。
半料までなら応じよう」
「とんでもねぇ! そこまでは甘えらんねーよ。
全く、 どっちが恩人か解らねー。
アンタ、 腕は立つけど人が良過ぎるぜ。
余計なお世話だが心配になっちまわぁ」
ガルフという狼人の青年はコロコロと表情が変わる。
見ていて飽きない、 やや粗暴な見た目も
慣れると逆に好感を覚える程だ。
「本当に、 仲間を救ってくれた上に申し訳ないわね。
罰が当たるんじゃないかって不安になるわ」
セリナという人間の女性、 他種族で構成される
このパーティーのまとめ役であるようだ。
聡明で理知的な印象を受ける、
肩にかかる波形の髪や整然とした服装も
其れを象徴しているようだ。
多様な人物とすれ違いながらしばらく歩くと
やがて武道場のような一室の前に出た。
正面に受付が設えられ二人の令嬢が座っている。
外観は大学の棟のようだったが内部は公共の体育館だな、
厳めしい魔物の装飾が施された扉の中は広そうだ。
「よう、 素材の換金をお願いしてーんだが。
ちょっくら “大物” でね。 中に通してもらいてぇ」
ガルフが指先に薄い金属板を挟んで提示しながら
受付の女性に伝える。
アレが “ギルドカード” というモノか。
冒険者の身分証、
所属する星界や現在の個人、パーティーランクを示すモノらしい。
私や友には無用の長物だな。
そのような未来も一興だったやもしれぬが。
≪全く魔皇種の娘さえ居らねば≫




