Ж-4 万 魔 殿 ~Anti Magic Dispel~ ②
≪CAUTION! CAUTION! CAUTIONンンンッッ!!≫
最後の方は半ば涙声で頭の声が響く。
あぁ~うるさいな、 どーしたの一体?
一応ご主人様のピンチよ。
『思考超加速』 とやらで走りながら意志の疎通は計れるけど
状況〇アル鬼ごっこよ? 捕まったら尻しばかれるだけじゃすまんのよ?
≪で、ありますからッ! 特質異能『創造者』の亢進に拠り、
【魔 皇 種 源 泉】 『万魔殿』 が覚醒した事を
お伝えしているのであります!
しかし主は、 個体名リュカ・サンダルフォンとばかり!≫
あ~、 そーかいそーかい、 そりゃ手間かけたね。
左眼から流れる血、 逃げるのに夢中で 「痛み」 に気づかなかったや。
あと最後妙な英語で締めるの止めた方がいいよ。
一回消えて再ブレイクしてまた消えた芸人思い出すから。
「……ありがと」
頭の中でウェ~ンとか聴こえるのが一瞬で消えた。
ほらほらそんなだからオレにチョロイとか言われちゃうんだ、
信じるなよ、 人を。
ほれ、 呆けてないで仕事仕事。
≪コホン! CAUTION!
『万魔殿』は、 【魔皇種源泉】 に纏わる主独自の異能。
この 【神創十二星界】 に存在する魔導、
及びソレに同期する異能を、
種族、 系統、 属性に囚われず修得、 行使が可能となります!
しかし修得難度は最大に! 魔氣の消費もソレに順次致します!
BE CAREFUL! 我が主よ!≫
あぁ、オレにダメ出しされてもそこは譲れないのね。
まぁ別にいいけど、 あ、 丁度いいや、
お誂え向きにガチャガチャ追ってきた背後の騎士に
振り向きざま左手を翳す。
「ふぁいあ~ぼ~る」
……
出ねーじゃねーかよ! どうしてくれるこの左手を!
うわ横でリュカがちょっと引いてるじゃん!
≪CAUTION! そのような術式は、
【神創十二星界】の何処にも存在しません!
更に主のイメージも非常に曖昧です!
炎熱の想起すら確認出来ませんでした!
YO≫
締めの言葉は切る。
え? もしかして 『詠唱』 とか必要なの?
あの長ったらしい無意味な言葉の羅列で精神集中って設定だけど
その全文覚えて噛まずに喋る方が余裕で神経削れるだろ! っていう、
アノ〇○なラノベ作家の○○○○でしかない
アノ 『詠唱』 !?
い、いらねー! 「〇昏よりも〇き者……」とか
「〇ーザード、〇ーザード」 とか無意味な厨二ポエム詠いたくねぇ~!
隙だらけじゃん! タイマンじゃ絶対負けるじゃん!
しかも何故か唱えてる間、 相手が放っておいてくれるという
超御都合 (主義) のオマケつき!
そんなモン! やってられるか! このやろう!
≪CAUTOIN! その主の拒絶反応が、
術式の構築を著しく阻害しております!
如何なる系統でも詠じねば発動しません! W、≫
そもそもオレは、 『ファンタジー』 という概念が余り好きではないのだ。
ロクに訓練してないようなヒョロッヒョロの小僧が大剣片手で振り回したり、
「鎧」 といっておきながら守備力布の服以下のもん着てる女とか〇ねとすら想う。
唯一の例外は某狂戦士マンガと
そのパク←(×)オーマジュ・マンガくらいだね。
後は某有名RPGを 「10-2」 まで繰り返しマラソンするくらいか。
竜退治も結構惰性でやってたりする。
閑話休題、 魔法なんぞに頼ろうとしたオレが莫迦だった。
やっぱ男は拳一つで勝負してなんぼだよね、
何の因果か今は少女になっちゃってるけどね。
そんな某小公女も真っ青の不幸な境遇にめげず、
オレは裸足で冷たい大理石の足元をまた一歩、
健気にも踏み出すのであった。
NEXT PHANTASM…Ж
今日は『二回投稿』です。