Ж-32 紅 い 陽 炎 ~Crimson Blaze~
氷河の瀑布。
誇張でも何でもなく事実其れだけの、
極大とも想える蒼色の冷凍波が一個の生命から嘔き出された。
対するは巨大とは云え一振りの剣、
勝負と呼ぶのすら莫迦げている圧倒的格差。
だから何だ?
己の背後に命が在るなら、 護ってみせるさ、
絶望は敗れてからする――。
≪御屋形様! 御業の発現を限界まで嗾けるよう尽力致します!
何卒御武運を!≫
感謝する、 我が盟友よ。
君の其の言葉で、 万の援軍を得た気分だ。
括目せよ――!
『ヤッッッちまえ相方ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
――――――――――――――――ッッッッッッッッッ!!!!!!!!!』
極限の狭間で裡に響く少女の声。
魔皇の 『魅了』 か? その姿まで浮かぶよ、
まるで背後にいるようだ。
≪ば、 莫迦な!? そのような事で!!≫
刹那、 刀身に爆ぜる烈火の波動。
後方下段に構えた大剣は、 居合い斬りの如き抜刀にて
空気の摩擦を伴いながら赤熱する。
其れが変質した闘氣と組み合わさり威力を相乗、
云わば双炎の列なりと成り顎と化す!
此れぞ我が極限異能、 『霊吼覇皇儀/壱ノ太刀』
【陽炎ッッ!!】




