表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ZODIAC PARADOX EXTREAM/CHAOSPHERE!】 ~戯題・愛のままにわがままに 魔皇少女は異世界に屈しない!~   作者: 沙波羅 或珂
【第二章/叛 逆 の 双 星】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/400

Ж-30 氷 刃 双 牙 ~Double Fang Shock~






 上空から強襲する異様な圧迫感。

 周囲の気圧に変化が生じ鼓膜にも異変が伝わる。

 即座に闘氣を集束させ私は遮断(ガード)出来たが、

真下の彼等は如何様(いかよう)か?

 かなり強大な魔氣(マギ)、 否、 強大且つ巨大だ。


「ワ、 ワ、 ワ、 『翼 竜 属(ワイバーン)』 だニャア~~~~!!

こんな浅層(せんそう)に現れるなんて聞いてないニャア~!!」


 半猫の少女が頭上を指差し毛並みを逆立たせる。


「クソッ! 星界(せいかい)(めぐ)りで、「位相(いそう)」 がズレたんだろうぜ!

“サジタリアス” や “カプリコーン” の魔物は入ってこねーと想ったが、

()()()が紛れ込みやがったかッ!」




 森の上空で威嚇するように翅翼(しよく)羽撃(はばた)かせる度に

颶風(ぐふう)と見紛う気流が樹々を(かし)ませる。

 並の小動物なら吹き飛ばされそうな風圧だ。

 此れを一つの生命が放っているとは、

驚愕というより驚嘆に近い感情が背筋を走る。

 しかし、 ()()




(おそ)れながら御屋形(おやかた)様。

グレイシァー・(氷河)ワイバーン(翼竜)

亜竜とは(いえど)も当座での威敵階層(討伐レベル)は 【険難()】 となりまする!

どうぞ御転進の程を!≫




 うむ、 君がそう言うなら交戦は避けよう。

 (しば)し状況を確認した後でな。




≪御屋形様!?≫




 言葉とは裏腹に魔道具より大剣を掴み出す。

 進言に従い()()()()()()。 交戦はな。



≪おのれ、 あの()れ者共! 勝てぬと解したなら早々に去れば良いものを!

そんな事すら出来ぬのか(たわ)けが!

畏れ多くも御屋形様に “殿(しんがり)” をお任せする羽目に陥ろうとはッ!≫




挿絵(By みてみん)




 気持ちはありがたいがそう責めてやるな。

 突発の恐慌状態では巧く思考が働かぬ、

私もそうであったろう。

 む――?


「逃げろ! おまえら!」 


 狼人族(ライカン・スロープ)と呼ばれていた半獣の青年が槍を構えて叫ぶ。

 その(かお)は血の気を失い手も足も(おこり)を発している、

総身を覆う獣毛も冷汗で濡れていた。


「ニャア~!! ガルフ!?」


「バカ言ってんじゃないわよ! アンタ一人で、 死ぬ気!?」


 猫人の少女と人間の女性が怯えながらもそう叫ぶ。


翼 竜 属(ワイバーン)に 『標的(ターゲッティング)』 されてんだ!

オレらのチーム・ランクで逃げ切れるわけねーだろ!

誰かが抑えなきゃいけねーんだよ!

なんだか知らねーがまだ攻撃を仕掛けてこねぇ!

今がチャンスだ! 行けッ!」


 頭上からの冷たい暴風が吹き荒れる中、

浅黒い人間の青年が柄の長い戦斧を握って隣へ並ぶ。


「おいッ!」


「一人で翼 竜 属(ワイバーン)を抑えきれるつもりか?

後ろから殺されるのはごめんだぜ」


「勝手にしやがれっ! 莫迦が!」


「どっちが」


「……すまぬな、 布都(ふつ)


 脳裏にではなく直接口に出す。

 くく、 ()んぬる(かな)、 と無念の言葉が絞り出される。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ