Ж-3 英 霊 打 技 ~Spiral Blow~ ②
「あぁ~! やっぱあるよなぁ~ “扉” !
魔封じ的な! 〇ソゲーとか〇〇ラノベならガラ空きなのに!
無駄に設定凝らんでええねん! どうせ〇〇〇〇なんだから!
〇〇〇〇〇か!」
「概ね同意だが、 私に任せろ!」
え? イケるの? じゃあ任せるよ? 任せちゃうよ?
今のオレでも流石に鋼鉄は砕けない。
レンガ位ならギリいけるかもだけど、
生まれたばっかのレベル1じゃたかがしれてる。
あれ? じゃあ何でさっきジジイ殴れたんだ?
【幻 朧 封 紋】とやらの能力が関係してるっぽいけど
その詳細も確認してる暇もない。
何か魔法的なモノで吹き飛ばせばいいのかも知れんが
使い方が解らん、 名前も解らん、
ついでに呪文と魔術の違いも解らん。
メ〇? ギ〇? 〇ァイア?
≪CAUTION!≫
行き止まりの踊り場に滑り込んで耳を澄ますと
下からドヤドヤ昇ってくる気配がする。
まぁ当然だね、 完全に袋のネズミ、 逃げ場も隠れ場もない。
〇イオハザードなら完全に詰みの状態、 やった事ないけど。
『螺旋勁!!』
ンなこと考えてる間にリュカ君が疾走の勢いを殺さず
石畳に鋭く踏み込んで腰の捻転と合わせ、
鋼鉄の扉へ強烈な一撃を叩き込む。
拳ではなく掌、 その底部を扉の縁に、
インパクトの衝撃が逃げないよう左を逆手の根元に当てがって。
ズゥゥン! と大鐘を撞いた時の
数倍は密度がある重低音の反響が周囲を錯綜する。
耳じゃなくて腹にクるねこの衝撃、
と同時にバキンッ! と硬質が弾ける音と共に
両開きの扉の片側が外れて〇リフのコントみたいに
内側へとズレて倒れ込む。
砕けはしないと想ったけど、
もしやと思っていた反面逆に驚いた。
「やはり、 いくら頑強な造りとはいえ
“蝶番” に至るまでは、
その比ではなかったらしいな?
内部の装具や留め金は余計にな」
「そおい!」
相方の解説を聞きながらオレは外れた扉をよいしょと引きづって
背後に蹴り落とす、 下からギャー! とか無数の絶叫が聞こえたが知りません、
いっちょあがり! とばかりに手をパンパンと払う。
なるほど、 よく見ると両開きの扉自体は分厚いけど、
内部の細かい部分は錆が浮いたり欠けたり歪んだりしてら。
頑丈さにかまけて管理が結構杜撰だったみたいね。
でもソレは言われてみればというだけで
急場のあの一瞬じゃ気づけないや、
ましてやその打開策までなんて。
「格闘技経験者?」
扉の向こう側を半身で確認しながら貴重な時間で意見交換。
というか、 こういう 「微細かい」 トコに眼が回るヤツ大好きなのよ。
オレも漫画とか映画の細かい 「矛盾」 や 「アラ」 とか
スッゲー気になって、 周りに言って引かれるタイプだから。
(ちなみに実の父親には首絞められた)
「嗜み程度、だな。 殆ど紙の上の知識だが」
「中拳(中国拳法)は内臓も鍛える、 とか?」
「古流剣術は肩口を斬られる前提、 程度だな」
ほほぉ~、 オタクはオタクでも 「格オタ」 でもあるわけだ。
〇ック・オフの100円コーナーにたくさんあるしね。
ヤベェ、 こんな状況なのに〇ラ、 ワクワクしてきたぞぉ。
スッゲー、 気が合うコイツ!
異世界転生してチート能力ってより
こんなに気の合うヤツがいるってコトの方が
ご都合 (主義) じゃね?
立ち振る舞いとか口調からオレが 「隠れオタク(自称)」 なら
彼は 「硬派オタク」 といったカンジかね?
おそらくオレみたいに周りからキモがられたりせずに
人望もあって友達もたくさんいたんだろうなぁ~。
「脱出ルートを」
「別個に逃げるって選択肢もあるよ」
「フッ、」
心にもない事をいうひねくれ者の言葉を合図に外へと飛び出す。
赤い絨毯、 大理石の柱、 天井にシャンデリアと
何の面白みもない通路に足を踏み入れた瞬間、
長槍で武装した騎士が
ザッシャア! という効果音が聞こえてきそうなカンジでオレ達を取り囲んだ。
NEXT PHANTASM…Ж
今日は『2回投稿』なのでこれで終わりです。