Ж-27 戦 術 現 魔・壱 ~Blair Witch Accursed~
魔皇のアトリエ。
ちょっと有りそうで何かヤダな。
「制作」 自体は巧くいったんだが、
画材のキャンバスが濡らすは漏らすはで大変だった。
ソッチを魔導で洗い流す方が苦労したよ。
まぁアクセントで多少完品に擦ってはおいたがね、そこらの葉っぱで。
さて、 背中から引っ剥がして丸めたソレは、
同じ素材で出来た皮紐で結わえてある。
全部で5つ、 残った 「材料」 は蔓で蓑虫みたいに
グルグル巻きにして放っぽらかしてある。
解放する際には解除しよう、
一応ソコからオレの魔導が露見する可能性が有るからネ。
ほんじゃ合図の魔導、 光属性。
光の玉を頭上に放ってある程度の高さで炸裂させる。
殺傷力はほぼ無いから詠唱要らない、 多少派手ではあるけどね。
「CELEBRATE♪ CELEBRATE♪」
大竹39~♪ とずっと繰り返せる鼻歌を頬杖を付きながら
スライムと共に口遊むこと数分、 来たよ来たよ御伴の者が。
何故か全員土煙を上げてダッシュしてるけど
オレ一人でって言ったよな?
まぁ別にいいけどさ、 ちょっと嬉しいのは何でか知らんが。
で、 案の定ドン引きしてやがる、 だから一人でって言ったのに。
一応血とか脂とかその他諸々は水の魔導で流したけれど、
匂いまでは完全に浄化し切れなかったみたい。
あと周囲に残留する殺戮の気配、 とか?
目的のブツは泡沫にしまったけど、
生きてる人間は入らないんだよね、 相方と確認したんだけどさ。
まぁオレ一人で運べない事もないんだけど
流石にダリィのと数があるので手伝ってもらう事にした。
悪いね、 護衛クン二人、 グルグル蓑虫の先端は蔦で伸ばしてあるから
引きずれば重くないんだけど、 何か地獄の底から響くような呻き声が
後ろから聞こえるのが難点だね、 だからサーシャは連れてくんなって言ったのよ。
そんなこんなで森の出口に到着。
流石に爺ちゃん、 永いこと此処を棲み処にしてるから
幾つも知ってるんだってさ、 「抜け道」 的なモノも含めて。
斜陽が眼を刺す黄昏時、 策を放つには良い時間帯だな。
ってなわけでまずは蔓を解いて瀕死になった奴等を解放、
当然サーシャには見せられないから
少し離れた所で護衛クンAに目隠しをしてもらう。
ちょっとした「誤算」でコイツらはもうオマケみたいになっちゃったから、
もう生きようが死のうがどーでもいーんだけどね。
だからとっととブン投げて森の外へ放置。
おお、 ホント普通に抜けたわ。
入る時は浅層から中層境目の何処か、
稀に深層に飛ばされるコトもあるそうだけど、
生還者がいないから仮説なんだってさ。
でも出る時はちゃんとした 「出口」 からなら普通に出られるんだって、
この森は本当に生きていて、
自分で勝手に出入り口を創る、 だからこの場所は呼吸口みたいなモノなんだって。
ソレじゃ本命、 泡沫の中から取り出した血塗れの、
5つの 「人皮紙」 を外に放り投げる。
中身は開けてのお楽しみ、 ちょっと置く場所とか順番とか
ディテールにも拘りたかったけど、
一度出るとまた入る時どっかにワープ(転移)しちゃうからね、
そこは妥協しとく。
さて、 これにて今日のお仕事は終了、 帰ろうか。




