Ж-26 魔皇の爪痕 ~Art of Pain~ ②
~§其の想いを奏でよ§~
「ほう、 大した上玉じゃねーか」
筋肉質な方がオレのフードを乱暴に剥ぎ取った。
予想通りというか何と言うか案の定
下卑た面に加えて口臭が酷い。
内臓が不健康なのに加えて代謝が弱まってるから
色々と悍ましいモノが体内に溜まってるンだろーね。
まぁ避けても良かったけど生き崖の駄賃だ、
最後に夢くらい見させてやるよ。
「おいおいおい、 こんな別品、 Sランクの奴隷でも見ねーぜ。
売るの勿体なくねーか?」
「金はハンミミの集落行けばたんまり手に入ンだろ?
コイツは奴隷公社に持ってって 「契約」 しよーぜ」
「お、 俺にも楽しませて貰えるんだろ!?」
「うるせー! てめぇはハンミミのジジイのケツでも掘ってやがれ!」
何か獣みたいな声でギャーギャー喚き始めた。
正直聞くに堪えないし魔物の方が遥かにマシ。
ハァ~、 もういいかな? 充分業溜まったでしょ。
何か病気持ちみたいな面したヤツがサーシャの事チラチラ見てるし。
私、 頑張ったよね? もう、 ゴールしてもいいよね?
演技で一歩後退ると、
案の定腕を掴まれそのまま強引に地べたへ押し倒された。
本っ当に解り易い、 ここまで想定通りだと却って気抜けするね。
『樹 海 ノ 異 図……!』
解れた木の蔓、 捲れた幹の皮、 這い擦り出した樹根が
十重二十重、ソ レ以上の列なりを以て男達の四肢を拘束し
眼と口を塞いだ。
勢い付き過ぎて根っこが脚まで貫いちゃった。
詠唱終わった後、 魔氣溜めながらある程度留保は出来るけど、
保存は出来ないンだよね、 限界超えると魔導が暴発からさ。
でもまぁいいか、 殺しちゃいないしオレの顔の拝観料ってコトで。
寄ってこようとする御伴の4人を制し、
代わりの重要な任務を伝える。




