表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/400

Ж-24 布 都 御 魂 ~Ancient Soul~ ②





 幸い、 現況の処、 御屋形様の御成長は堅調に進んでおられる。

呪われし魔王種属とは違い、 英霊種は神々の 『恩恵』 を一身に受けられる存在。

 (いくさ)に勝利する、 苦境を乗り越える、 仁徳により他者を救う。

 様々な功績(経験)を成す事により、 与えられる神々の魔氣(恩恵)

其れを効率的且つ細分に精練(せいれん)し、

御屋形様に相応しき御力へと昇華させるのも我の役目と()る。

 魔皇と英霊とでは、 其処に隔絶とした相異が生ずる。

 御屋形様は武功を挙げれば挙げるほど其の尊き御力を増してゆかれるが、

魔皇ノエルは幾ら戦っても()()()()()()

微塵も魔力(チカラ)向上(あが)ってはゆかない。


 (しか)(なが)ら、 敵も()るモノ。

神々の恩恵が受けられぬ事を逆手に、

対象(生物)から直接魔氣(マギ)魔那(マナ)を奪い取る(異能)を獲得してしまった。

 其の影響に拠り、 御屋形様の成長速度も然る事ながら

魔皇ノエルも其れに劣らぬ事態になっている。

 近接戦闘ならば、 御屋形様の一撃に拠り

彼奴(きやつ)が魔導を行使する遥か以前、

其の首が飛んでいるであろう。

 だが距離を奪られたなら、 或いは配下の者を差し向けられたのなら、

彼奴の 『原初魔導(げんしょまどう)』 の驚異は御屋形様ですら危ういやもしれぬ。

……同属アビスも全く余計な真似を、 万物の調和を第一義とするならば、

魔皇など生長させるべきではない、

いざ 【魔星(ませい)】 に目醒(めざ)めたのなら、

その災禍を(こうむ)るのは我が御屋形様やも()れぬのに。


 矢張(やは)り、 後の危局を忌避(きひ)出来るのは

現状、 我だけで在るようだ。

 御屋形様の大いなる慈悲は()()()()魔皇種にまで及んでしまう、

其が英霊種の宿命で在るならば、 天魔波旬(てんまはじゅん)と化すべきは我。

 (たと)六道(りくどう)の獄に堕ちようとも、 御屋形様だけは御護りする。

 時折彼奴が我に向ける視線、 おそらくは我の思惑にも勘付いているのであろう。

 望む処だ、 我の眼の黒いうちは、

貴様の(ほしいまま)に動くこと(まか)り成らぬと識るが良い。

 魔皇の魔那と魔氣の蠢動(ふるえ)が伝える、

御屋形様とすれ違う刹那、

我にしか解らぬ声と視線で――


「おまえ? アビスちゃんのコト好きだろ?」




挿絵(By みてみん)




……絶対赦さぬ。 必ず滅す――!



NEXT PHANTASM…Ж







挿絵(By みてみん)





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ