第50話「姪っ子にバレたので……」
「……なので、むしろこーいうのが新種だと思ったんだけどなー」
半分に切られた鶏と蛇の魔物。
ちなみに、
───ゴリュゴリュゴリュ
……下半身の蛇は絶賛肥料に転生中。
さ、さすがに蛇を食用にはするのは、ちょっと勘弁。
おっと、それよりも、
「うーん……ダメか。やっぱ新種登録───先を越されたのかなー?」
何度確認しても、新種登録料は振り込まれている形跡はない。
いっそ、国連のダンジョン研究所とかに問合せしたいところだけど、かなしいかな───英語がわかりません……。
せっかくポンタが狩ってきてくれたのにねー……。
『わふぅ……』
なでなで
「はは、これでもお前には感謝してるんだぞ」
……ぶっちゃけ、ほとんどポンタの稼ぎなので、高橋はヒモ状態です。
飼い犬のヒモ───とか、日本語的におかしいけど、事実なのよねこれ。とほほ
だ、だってさー。ポンタにwikiを見せてやりながら「ここにいない奴を捕ってきてー!」って注文したら、本当に捕ってきてくれたんだもん。
そりゃ頼っちゃうでしょ?
…………思うに、最近のポンタ君、日本語を理解してる気がする───。
まぁ、たま~~に……? いや、割と頻繁に?───とーんでもない行動してくれるけどね。
ほら、この前のドラゴンとかねー!!
あ! あと、生きたまま連れてきてくるのは勘弁してほしいなー……。
肉が新鮮なのはありがたいけど、グロイし、怖いし、なにせグロイ。(大事なことなので二回───以下略)
ちなみに、コカトリスに至っては死の危険すらあった。だって、あの鳥野郎──マジで石化させて来るんだもん!!
おかげでリースで借りて来た小型ショベルのアームが石になっちゃったよ……。
コカトリスの野郎、まるで「死なばもろともー!」と言わんばかりに、ヤツ的には強敵に見えたであろう小型ショベルに対してい、石化光線をこう───……ビカビカー! とね。
いやー……直撃していれば高橋もやばかっただろう。
「あーぁ───かわりに小型ショベルがおしゃかだよ。リース代に保険を上乗せしてたからよかったものの、これ以上リースするのは無理だな」
さすがにお金が持たない。
最後に庭にデッカイ穴を掘っておいたけど、これ……どうみても、戦時中の集団墓地だよね??
デカすぎる部位を埋めて隠すために掘ったけど、知人に見られたらなんて言えばいいんだろう……。
というか、そろそろ庭がキャパオーバーだ!
これ以上、埋めきれん!残った面積はすべて畑になっちゃったし……。
「───……なにより、くっせーーーーーーーーー!」
もう、何この匂い……。
地獄? 地獄の匂い??
……残暑厳しい季節だし。
あっという間に腐敗したモンスターの肉が、埋めたそばから臭ってくる。
これはそろそろ、衛生的にもやばいのではないだろうか……。
そのうち通報されたり──────。
ピンポ~~~~~ン♪
「ふぁゎおぅ!!」
……ビックゥ!
思わず変な声がでちゃう高橋。
また、近所のおばちゃんがクレームをつけに来たくらいならともかく、昼間っから呼び鈴を押すような奴って……。
「うわ、なに?! この家くっさ!」
「……って、やっぱお前かーい!!」
あと、俺入っていいって言ってないからね───それ不法侵入だからね! 恵美ぃ!!
「いいじゃん、可愛い姪っ子が───」
「──自分で言うな!」
ズビシッ!
すかさずチョップ。
「……ってなにぃぃい!」
ササッ!
「ふっふ〜ん! 中年のオッサンの攻撃くらいかわせない恵美さんではないですよ──────っていうか、マジくさっ!」
何、この匂いッ!
「ちょ、ちょっと叔父さん?! これやばいよ? 死体でも埋めてんの?」
「ぎく!」
「「………………」」
「なに、ギクって? まさかホントに……。あ、あと風呂入って───」
「風呂には入っとるわぁぁぁああああああ!」
………………。
…………。
「───には?」
どきッ!
「……ご、ごほん」
「じー」
おっふ……そんなに見るなよ、叔父さんドキドキしちゃうだろぅ。
ジト目の恵美さんに汗をダラダラ流す高橋。
「じー……」
くッ……。
こ、ここは何と言ってごまかそうか───……。
「あー……その、なんだ。刺身くう? あと、チキンステーキあるよ」
そう、無難に───。
「食べゆ」
って、チョロぉ!!
この娘、チョロ~~~ぃ!!
「……お、おう。まかせろ─────今日は高級魚(?)の刺身と…………ぉぉおおおおお!?」
思わず変な声の出ちゃう高橋。
だ、だって……。
「───びっくりしたー!? なに、急に変な声出して……って、あれ? ポンタ何咥えてるんの?」
『わふわふっ♪』
ひ、ひぇええ……!
ぽ、ぽ、ぽ、ぽんたーーーーーーーーーーー!!
恵美さんが遊びに来て嬉しいのか、テンションマックスのポンタ君!
棒でも「投げて投げて~」と言わんばかりに口にくわえた棒(?)みたいなものをもって恵美さんの前にいるけどさーーーーーー!
それ、魚人間の足ぃぃぃぃいいいいいいいい!!




