第49話「これってば違うってばYO!」
「あっれれ~? おっかしいなー」
銀行口座を再度確認する高橋。
PC上でも残高が確認できるのは便利な時代になったものだが、おかげで入金の遅れがリアルタイムでわかるので違和感が尽きない。
……というのも、新種登録の報酬金が振り込まれなくなったのだ。
オマケにメールに既読すらつかない。(ブラック企業時代のくせで、会社のメールにも既読確認のタブにチェックを入れておいたのだ)
『……わ、わふ?』
「いや、ポンタが悪いわけじゃないよ」
一回の作業部屋で『へっへっへ♪』と舌を出しながら首をかしげるポンタの頭を撫でつつ、解体機に備え付けのPCをもう一度確認。
……うん、送信済みだ。
「っかしいなー。今まではすぐに振り込まれてたのに……」
一体あたり10万円強───およそ1000ドルの報酬だ。
国際銀行経由だが、こんなに遅れたことはこれまでになかった。
「んーむ、ポンタのおかげで、またまた5体もの、新種っぽいの登録したのになー。もしかして新種じゃなかった??」
『わふん……』
しゅ~んとしたポンタ。
なでなで
……しかし、あれが新種じゃなかったというのだろうか?
海産物が食べたいなーと、言ったその日のうちにポンタが犬小屋ダンジョンから狩ってきた大物。
なんというか、アレだ。
魚に足の生えた超グロイ生物。
あんなの「モンスターWiki」に乗ってなかったから絶対新種だと思ったのに。
近いところで言えば魚人なんだけど、あれはもっと人間っぽいフォルムをしている。
ポンタが狩ってきたのは、昔見た南国を舞台にした漫画にでてきたアレに似ている。
ちなみに、味はね………………ビックリするぐらい旨かったよ!
食べたのかって??……食べましたが何かっ?! キリッ!
だって、足だけ切り落としたらほとんど高級魚にしか見えなかったんだもん───ビチビチしていたので新鮮だったし。
うん、刺身にしたり煮つけにしたりしました……旨かった。
───まぁ、足だけはね。
さすがにね。食えないね……。
だって、見た目まんま人の足だもん……超グローイ!
これは、空き次第、コンポスター行きだねー。
なにせ連日の新種処理のせいでコンポスターがフル稼働で、転生準備待ちなのだ。
昨日から大物が何体もコンポスターにかけられている。
だってポンタ君、このところ毎日毎日狩り過ぎ。
魚のほかにも、チロチロと炎みたいな息を吐いている犬っぽいヤツとか、
ライオンっぽい首と蛇の尾とヤギの頭をした獣とか……あと、8本の首を持った蛇とかさー!
こいつらって、どう見ても新種でしょ?!
なんか、イメージもろ湧きだったから、命名権使って、それぞれ『ガルム』、『キメラ』、『ヒドラ』とか付けたよ!!
あと、これ───……。
ジューーーーー……!
「うん、これも旨い……」
チキンステーキっぽく料理中なのが、昨日ポンタ君が狩ってきた魔物です。
旨いんだけど───これ、じつはモンスターでーす!!
なんと、見た目はデッカイ鶏!…………と蛇の下半身でした!
「つーか……これなんか、絶対アレだよね?」
そうアレ……。鶏の身体に尾が尻尾の化け物───『コカトリス』。
もちろん、新種だ。
ファンタジー世界お馴染みのモンスターの大半は、いまだモンスターWikiに登録されていないのだ。
ゴブリンとかノーマルのオークくらいなら結構多数見つけられるみたいなんだけどねー。
あとは、ファンタジー小説でも見かけないようなモンスターは結構Wikiに登録されている。
むしろ、逆にそういったモンスターのほうが、下層には多いみたいだ。
なんか「緑色の犬っぽい奴」とか「毛のない猫みたいな魔物」とか、あとはコボルトとかそー言うのが登録済。
他にも蟲系? デッカイ蜘蛛とか、ながーいバッタとかね。
あーいう、見た目はグロイやつは、見た目だけで実際には弱いのか、主に下層や中層で出現するらしい。
「……なので、むしろこーいうのが新種だと思ったんだけどなー」




