第32話「姪っ子とテレビみる」
テレビに集中集中……。
『へーそうなんですか?
ダンジョン適正なんてのがあるんですねー』
『えぇ、これが発見されたことにより、
ダンジョン開発は飛躍的に広がったのです』
(うわ、超〜興味ねーわ)
やたら高い声のニュースキャスターの女性と解説の男。
話題はダンジョン関連株の高騰と民間に拡大されつつある開放されたダンジョンのことらしい。
「それにしても、この大根どうしたの? めっちゃシャキシャキで美味しい」
「…………キンジョでモラッタ」
嘘じゃないよ。
アト、大根ジャナイヨ───。
「へー。いいご近所さんだね? 隣のおばちゃん?」
「奴は敵だ」
引っ越し、引っ越し、うるせぇんだもん、あのおばちゃん。
「ふ、ふ~ん? まぁいいや、肉ばっかってのもちょっとアレだし」
「食っといてから言うなし」
まぁ、確かに大根…………じゃなくて、マンドラゴラが加わっただけで、結構食べやすくなった。
やっぱ野菜は大事だね、野菜。
「ほれ、食うか?」
「わ! ありがと!」
デザート代わりにスティックにしたマンドラゴラを恵美にもくれてやり、コリコリ齧りつつお茶を飲む。
野菜スティックは塩だけでもうまいが、味噌と混ぜたマヨネーズが一番うまい。
ちなみに、このお茶もマンドラゴラの葉から作ったお茶、……めっちゃ旨い。
……参考までに大根葉茶で検索してねッ。
「ずずー……うまい」
「ずずー……うまいね」
…………いや、なんなんこの空気?
『そうです。適正のあるものは、
長時間ダンジョンに潜ることができますが、
適正のない方が潜った場合、
酸欠のような症状をきたし、
最悪の場合…………命を落とします』
『そ、そうなんですねー。では、その
適性の有無はどうやって判断するんです?』
そろそろ帰ってくれないかなー、と思いつつ恵美をチラチラみつつも、動く気配なし。
「お前、学校は?」
「今日休みだよ」
…………なら、どっか遊びに行けよ!!
「じゃ、じゃーなんで制服着てんだよ」
「ん?……叔父さん喜ぶかと思って」
「おう──────……って、俺をなんだと思ってるんだよ!!」
「無職のダメ人間」
「当ってる! 当たってるけどぉぉぉおお!!」
刺さる。
刺さるから、やめて!!
たしかに制服とか好きだけどぉぉおおおお!
お前が姪っ子じゃなきゃなーーーーー!!
……ああ、もう! 本音でそうになるやんけ!
「ったく……」
叔父の家で暇つぶしすんなよ。
友達いないのか? コイツ。
「叔父さんと一緒にしないでよ」
「心を読むなッ!」
「叔父さんは顔に出過ぎなんだよ。あと、姪っ子の身体をジロジロみない」
「うるッせぇわ!!」
見ても減らねーだろうが!!
くそー。無駄に出るとこ出やがって……!
だいたい、スカート短いんだよ! 年食うとなぁ、胸もいいが足もいいんだよ~脚ぃ!
あー……いいモモしやがってー。
眼福じゃねーか。
「も、もう、エチィなんだから」
照れ照れ……って、
可愛いな、こんちくしょう!
「うるへーよ、クソガキ」
とはいえ、コイツがいるおかげでクッソ興味のないテレビを見る羽目に……。
あー……チャンネル変えてもいいかな……。




