第22話「魔石」
「………………ははは、ないない。ないわー。『魔石』の入手確率すごいっていうしな───……。だいたいこんなにデカイのは億クラスどころじゃないぞ」
そんなものを犬小屋から発見できる確率ってどんなもんよ? 第一、魔石だったとしても換金手段がないしね……!
「それにしてもポンタのやつ……」
冗談めかしてポンタにとってこいなんて言ったけど、まさかねー。
ちなみに、『魔石』だった場合の価値は、スマホ調べでは、ざっくりとこんな感じ?
たしか、サイズは極小から極大までで……。
極小:100万
小:数百万
中:1000万
大:億単位
特大:値段外───。
具体的な例でいうなら。
極小で鼻くそサイズ、
特大でこぶし大だ。
そして、オーガから出てきたものは……ソフトボールくらいのデカさ。
サイズ表現でいうなら【極大】とでもいうのだろうか?
値段外の『特大』───それよりもデカイ『魔石』ってどんだけだよ!
とはいえ、現状の高橋には無用の長物だ。
膨大なエネルギーを秘めた魔石は、いまだ研究中とはいえ、原子力に変わるエネルギーとなる可能性があるんだってー。
それらの、「未来」に価値を見出しての先行投資としての値段というわけ、各国は魔石の収集に躍起になっているらしい、っと───。
以上、スマホ調べでしたー。
「……へー」
すげー気のない返事をスマホにしつつ、
「──とりあえず、保管しとくか」
魔石でないなら、この石が何かは知らんけど。
とりあえず、作業部屋の片隅に放置。
回収した斬馬刀みたいな鉈も、洗っていっしょくたにして置いておく。
捨てようにも、デカすぎるからね……。
それに、下手なもんをゴミ置き場にもっていこうものなら───例の近所のおばちゃんがうるさいのなんのって!
……今時、ゴミ袋チェックしてやがんのよ? あのババア!
そんでもって、ちょ~~~~~っとでも、回収外のものが入ってたら、わざわざ家の前にもってきて放置しやがんの!
クソババアめ……。
「……するってぇと、これもちゃんと分別しないとな」
取り出したりますは、オーガの装備の数々ー。
……といっても、オーガが持っていたのは、デッカイ鉈のほかは、腰蓑だけ。
そして、この腰蓑なのだが───。
「うわー、これ──くっせーな……。地獄の匂いかこれはぁぁぁ!!」
あーもー、速攻で捨てたい。
だけど、確認しないと余計にひどい目を見るのは火を見るより明らか。
…………具体的にはゴミの分別に困る!!
「う~ん。やっぱこれポリエステルとかだよな? タグがないけど、どうみても迷彩服だし」
迷彩だろうが何だろうが服は服だ。……だったら、燃えるゴミでいいんだよね?
なんかテレビとかで、軍服は難燃素材って聞いた気がするけど───。
「それになんだこりゃ……?? な~んか、アメリカのマークっぽくみえるんだよなー」
他にもロシアの三色旗とか、中国っぽいものも……。
とはいえ、確証はない。
(※ 高橋はミリオタではないのだ)
雑に縫い合わされたそれはボロボロのドロドロ……。
オマケに血汚れを吸って元の色が分からないほどだ。
「……ま、いいや。燃えるゴミだな、これは」
くっせーし!!
迷わず、迷彩服の腰蓑をゴミ箱に投入する高橋。
……さすがこれは肥料にはならない。
「んー。それにしても、変なオーガだったよなー。あの腰蓑からして、もしかして軍隊と戦ったことあるのかね?……ははっ、案外、マジでコイツってネームドだったりしてー」
軍隊と交戦経験のある、超危険指定モンスター。
通称:ネームド
──二つ名持ちの化け物だ。
「HAHAHA……ないない。ないない、ないわー」
だって、ポンタが狩ってきたんだもの。
これがネームドだったら、ポンタって特殊部隊より強いってことよ?
そんなわけないしねー。
「……あと、これはなんだろうな?……機械?」
そしてもう一つ。
解体工程でより分けたものの中にでてきたものがあったのだが───……。
「んー。迷彩服着てた人の持ち物かな? プレスで壊しちゃったけど、……なんだろ? チップかな??……半導体とかにも見えるなー」
オーガ体内から出て来たそれ。
明らかに人工物なので、迷彩服の持ち主が持っていたものかもしれない。
……これもさすがに売れないし、肥料にもならない。
ならば、
「捨~てよ──────」
迷彩服と一緒に、燃えるゴミへ…………。
「あ!!!!!!!」
……燃えないゴミか、こっちは。




