第19話「ドロップ品?」
「せぃ!」
───ゾンッ!!
『ごふぅぅ……』
高橋の一撃が見事にオーガの首を切り落とす。
ドクドクと溢れる血が庭にしみこんでいき、オーガの瞳から……光が消えた。
「ふ、ふー…………。よかったぁ。あのままだとスプラッタ映画ばりに良い子に見せられない場面になるとこだたぜー」
『わふわふッ!』
一方ポンタは骨々ガムを咥えて大喜び……。
その横で巨大な首がゴーロゴロ。
「わ、わー……。今日は一段とグッロー……い。ほんっと、前の会社で解体とかしてなかったら、絶対吐いてたな」
人間慣れちゃうものだもの。
でも、グロイ物はグロイ……ん?
「なんだこれ?……石??」
大量の血と肉片に交じって、チカチカと光るものが一つ。
首を切り落とした時に体内から零れ墜ちたようだが…………。
『もしもーーーーし! 高橋さん?! いい加減にしないと怒りますよ?! 公務員だからって、下手に出てると───』
あ、やべ!!
「す、すみません!! ちょ。ちょっとトラブルが起こりまして」
『はぁ? 電話中でしょ! もー!!…………で、なんですか? 大体アナタは土曜日に電話してくるし、ワンギリするし、ちょっとこっちも暇じゃないんですよ!』
「すみません、すみません!!───あの、ところで、ダンジョンから魔物が出てきた場合ってどうすればいいんですか?」
『はぁぁ?……そんなことあるわけないじゃないですか! いいですか? 魔物はダンジョン内の特殊な環境にのみ生息できるんです。連れて出た場合は、息切れをおこしたようにして死んでしまいますよ。……そもそも、生きた魔物をダンジョンの外に出すのは重罪なんです! じゅーざい! わかるでしょうが、そんなことぐらい!──あれは生態系破壊しかねない生物なんですからね!』
で、で、ですよねー。
「でも、その───も、もし、その……か、仮に連れだしたら……どうなるんです?」
『あぁん?!……そんなもん、逮捕されるに決まってますよ。……昔、ロシアの学者がダンジョン素材で檻を作って生物を出そうとしたことがありましてね───輸送中の列車で暴れ出して大惨事を起こしたことがあるんです。その魔物はすぐに息絶えましたが、その短時間で出した被害で、死者50人ですよ?! 50人!……よって、国連のダンジョン研究所より要請があって、今となっては各国が重罪認定してます。日本だとまぁ──────下手したら懲役ですね。……罰金だけでも数百万ですよ』
「ちょ」
懲・役?!
&
数百万?!
「す、数百万て……」
『で──────なんですか? まさか犬小屋───ぶふっ! あの犬小屋からモンスターでもでました? まぁ、あのサイズじゃそんなことありえないですけどね』
「ソーデスネー」
出てます。
オーガが出てます。
しかも、でっかい奴……!
……っていうか笑うなし!!
『あー……一度お伺いしましょうか? 忙しいんですけどねー。……ほんっと、忙しいんですけどねー』
「いーえー、ナンデモアリマテーン。しっつれいしま~~す」
ガチャ、ツーツーツー。
や、
やっちゃいましたよ……。
……生きて出しちゃいましたよ!
「うぉぉぉおお、やってしまったぁぁぁ!」
───犯罪ですよ、メヂカラさん!
くっそー迅速にこのオーガも処理せねば……!
「…………ポンタ君や」
『わふ??』
へっへっへ♪
……すぅ、
「───犬小屋禁止ぃぃぃぃいいいいいいいい!!」
『きゃうん……!』
《クラフト:オーガ肥料(骨なし)
オーガの骨(全身)
《ドロップ:
ソフトボール大のなんかうっすら光る珠
小型の機械(破損)
オーガの持ってた鉈
迷彩服の腰蓑




