第12話「獲物その3…………あかんあかんあかーーん!!」
一抱えもある肉を抱えて、意気揚々と帰っていく恵美を見送る高橋。
……あいつパワーあるなー。
「ふーむ。それにしても、サポーターか……」
てっきり、あの大金は援助なことして稼いだのかと……。叔父さんちょっとドキドキしたぜ。
──ふっふ~い!
しかし、なるほど……。
最前線で戦う冒険者を支える、サポート役のバイトか。
正確に言うならサポーターも冒険者の一種で、
最前線で戦うものをハンターやソルジャーと呼ぶらしい。
細かいところでいえば、民間がハンター。
自衛隊や警察などの官営がソルジャーなんだって。
そして、後方で支援するのが総じてサポーター。
荷物持ちも兼ねているので、サポーターじゃなくて、「ポーター」だ、なんて揶揄して言う者もいる。
……民間が───以下略。
──で、重要なことが一つ。
サポーターとして会社に雇われればダンジョンに入ることができるという。
当然、冒険者の特権も得ることができるというわけだ。
つまり、恵美のように、ダンジョン産のものを売ることができるという、それ。
む…………むぅ。俺もやろうかな、サポーター。
「それにしても恵美め、俺より稼ぎやがってー……畜生ぅ」
叔父さん、ちょっと涙が出て来たヨ。
JKよりも稼ぎに低い叔父さんって……。
生きてる意味あるのかなーへへへへへ……。
「はー……もう。ここはポンタ君に癒してもらおう」
しょんぼりした高橋は、愛しのポンタ君の頭をなでなでのわしゃわしゃしようと玄関をガチャリ───。
…………あ、あれ?
「……ポンタどこいった?」
たしか、庭禁止のかわりに玄関に居場所を置いてやったはずだが……はて??
…………あ!!!
「それよりどうしたの?
なんかポンタが玄関で、
ションボリしてたけど……」
ふと思い出される恵美の言葉。
勝手に玄関を開けて、
勝手に入ってきたフリーダムな姪っ子……。
(ま、まさか)
アイツ───ポンタを庭に放したのか?!
「……ッ!!」
思わず庭に向かって猛ダッシュ。
普段、ポンタを庭で放し飼いにしていることは家族なら周知の事実。
そのポンタが狭い玄関でションボリしていれば当然のこと──────…………ってことはー。
ま、まさか、まさかぁぁぁあ!!
──あああああああああああああああ!!
……や、や、
「や、やっぱりぃぃぃぃぃいいいいいいい!!」
『わぉぉぉおん♪ わおん、わおーん♪』
ポンタ君、超ご機嫌!
超、尻尾ブンブン!!
そして、
やっぱり彼の御足の下には───……。
「グッローーーーーーーーーーイ!! めっちゃグッッッローーーーーーーーーイ」
『へっへっへっへっへ♪』
褒めて褒めて、と言わんばかりのポンタ君。
顔面血だらけにして、足蹴にしているのは本日二度目のオーーーーーーーク!!
しかも、色違いのオーーーーーーーーーク!!
「あ、赤い! めっちゃ赤いよそのオーク!!」
しかも、
『ごるるるるるぅ……』
「だ・か・ら、なんで生きてんの?! バカなの 死ぬの?!」
ポンタ君たら、猫が生き餌を甚振るように、生きたモンスターを犬小屋ダンジョンから持ち帰っちゃいました……。
…………。
……。
※ ポンタの戦果:なんか赤いオーク ※




