隠し物 発見の理由
あれは、確かにここにあったはずだ。
大切なものは、人に奪われないように隠そう。そう思って、決して見つからないような場所に隠しておいたのに。
何者かが見つけてしまったようだ。
一体どうして。
人目につかない場所を選んだつもりだ。
めったに人が来ない場所にしたのに。
そこに人が来るのは、一年に一回あるかないか。
家族のうちの誰か、主婦もサラリーマンも子供もペットも、まったく用がない場所。
あの場所は、室内ですらない場所だというのに。
普通だったら、発見されるなんてありえないはずだった。
それなのに、なぜ?
いくら考えても分からなかった。
俺の額に冷や汗がながれる。
どうする?
こうなってしまった以上、とるべき行動は一つしかない。
プライドと、大切な物。天秤でかたむけるべき物は、とっくに決まっている。
だから俺は、直接本人に尋ねる事にしたのだ。
「母ちゃん、俺のゲーム機どうやって見つけたんだよ!」
「そんなの決まってるだろうよ。大掃除の前に倉庫の中に隠すなんて馬鹿だねお前は」