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徒然怪奇  作者: 飛鷹 旋利
7/8

心霊スポットに行かない理由

私は心霊スポットには行かない。

もともと苦手というのもあるけれど、憑かれやすいのと、体調が悪くなったり、霊障がひどくなったりするのも行きたくない理由だ。


でも。

何よりも行きたくないその理由は。


行ったら、連れて行かれること、生きていられないということもあるからだ。


そしてこれは、肝試しに行かなくなった古い知り合い、壱弥さんの話だ。


壱弥さんは霊感が強い人だ。

見えることもあれば、声をきいたり相手と話したり、軽い霊であれば祓ったりすることもできる人。

ただし修行はしていないので、祓い方は自己流だ。

私も何度か世話になっている。


その壱弥さんが何故肝試しに行かなくなったかは、最後に行った心霊スポットが関わってくる。


その日壱弥さんは、二人の女の子と一緒に肝試しに行ったのだそうだ。

壱弥さん本人が行きたいと言い出したのではなく、女の子たちが行きたいと言い出したのだという。

彼女たちに同行したのは、壱弥さんに免許があったからだ。


同行を頼まれたとき、初め壱弥さんはしぶったそうだ。

霊感の強い彼は、見たくないものを見たり、聞きたくないものもきいてしまう。

正直行きたくなかったのだ。


ためらったものの、彼は結局彼女たちの肝試しに同行した。

運転をできるのも、車を用意できるのも彼しかいなかったからだ。


というわけで、壱弥さんの父親の車を借りて、心霊スポットに向かうことになったそうだが、その場所というのは、過去処刑場があった場所で、行った瞬間に、壱弥さんは「ここはやばい」と感じたそうだ。


車で近くまでは行ったそうだが、これ以上進めない、と彼は車を停めた。

本能に従わねばならないと思うほどの何かを感じたのだという。


「ここから先は俺は行かないから君たちだけで行ってきなよ」


そう言うと、彼女たちは顔を見合わせて迷ったようだったが、結局二人で歩いて現地へ向かった。


と、間もなく。


悲鳴が彼のもとに届き、女子二人は泣きながら車に帰ってきたそうだ。

そして帰ってきたとき、彼は恐ろしい何かが追ってくるのを感じて慌てて車を出したそうだ。


車が発車しても、車には手形がいくつもべたべたと張り付き、おまけに、後部座席にはいてはならないものが一緒に乗っていた。

女子二人は後部座席に離れて座っていたようだが、その隙間に、生まれたばかりの赤ん坊が乗って泣き叫んでいる。

しかも頭だけの赤ん坊だ。


車の中はひどい騒ぎになる。

女子らは体調を崩し、彼もひどい頭痛に悩まされたが、悩んでいる暇などないくらい事態は緊迫していた。


二人を送り届けて翌日車を見れば、車体にはいくつもの手形がべたべたと無数に跡を残していた。


そして、彼のところには毎夜あの場所から憑いてきた怨霊が現れるようになる。

殺されはしなかったのは、彼がその怨霊と話すことができたからだ。

壱弥さんは必死に毎日怨霊に謝った。

謝り続けた。


すると、彼は怨霊に彼は約束させられた。

「次に来たら命はないぞ」

と。


そして、自分でもそうなるのが彼にはわかるのだという。


「俺、次はどこの心霊スポットにいっても気が狂っておかしくなるのがわかるんだよ・・・・」


それ以来、彼は心霊スポットに行くのをやめたのだという。

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