終わらない夢
「ワンクリックで人生終わる?何だ?このサイト。」
ベッドの中で、パソコンでネットをしていた。そして、あるサイトの広告の見出しが気になった亮平は、クリックしてしまった。その直後、意識を失った。
1、プロローグ
「よかった……夢か……」
悪夢から目覚めた亮平は、コップ一杯の水をのどに流し込み、制服に着替えて外に出た。
「いい天気だ。」
亮平は、空を見てつぶやいた。
カラスが、電柱に2匹とまっている。
家から学校まで、徒歩20分。ボロアパートに住んでいる。
学校に着いたら、まず健康観察をする。一人一人名前を呼んで、具合が悪い人は、どこが悪いかを言う。
でも、僕は恥ずかしくて言えない。だから、後で係りの人に
「頭……痛いです……」
とこっそりいつも言っている。
そして、今日も名前が呼ばれる。
比較的に、最後のほうだけど、それはそれで嫌だ.
「中村亮平君」
ついに呼ばれた。
「……はい。元気です。」
「き……緊張した……。」
そっとつぶやいた。
「いちいち報告しなくていいから。」
そう言ったのは阿部崇瀬。亮平の隣の席に座っている。
「報告したわけじゃない。ひとりごとだ。」
「つーか、何で緊張するの?」
「生まれつきだ。」
「…………」
突然、崇瀬がうつむいて黙った。
「どうした?」
「……僕も生まれつき、目が……」
「目が?」
「目が……無いんだ。」
そう言って、振りむいた崇瀬の顔には、目がなかった。本来、目がある部分に、ぽっかり穴があいている!
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ハァ……ハァ…………夢か……。」
ん?でも待てよ。おかしいな。さっきも起きた記憶があるな。気のせいか?
悪夢から目覚めた亮平は、コップ一杯の水をのどに流し込み、制服に着替えて外に出た。
「いい天気だ。」
亮平は、空を見てつぶやいた。
カラスが、電柱に2匹とまっている。
あっという間に学校に着いた。いつもより早く着いた気がする。そして、健康観察が始まった。
「中村亮平君」
「……はい。元気です。」
「き……緊張した……。」
そっとつぶやいた。
「いちいち報告しなくていいから。」と、崇瀬が言った。
「さっきも聞いたぞ。この台詞。今日は何か変な感じがする。」
亮平はつぶやいた。だが、だれも聞いてない。
「報告したわけじゃない。ひとりごとだ。」
と、亮平が言った。つい同じ台詞を言ってしまった。
「つーか、何で緊張するの?」
「生まれつきだ。」
「そうか。」
そして、いつもの日常を亮平は過ごしていた。そして放課後、崇瀬が
「カラオケいこ!」
と誘ってきた。
「二人で?」
と驚いた表情で聞き返した。
「うん!」
崇瀬は今まで見せたことのない笑顔で答えた。
「いいよ。」
そして家に帰り、また1杯の水を飲み、カラオケボックスへ向かった。現地集合らしい。
「今朝の夢はなんだったんだ?」
また独り言を言っている。亮平は、独り言が多い。
そして、カラオケボックスに到着した。
受付で、崇瀬が待っていた。
「おせーぞ。」
と崇瀬が言いながら、微笑んでいた。なぜかわからないけれど、少し怖かった。
「四号室になります。」
と言って、受付のお兄さんが渡してくれた。
「いこうか。」
「うん。」
ここのカラオケボックスは、比較的小さい。
なので、来やすい。
「何、歌う?」
「いろいろ。」
という感じに、会話しながら4号室に向かった。
……やっと着いた。
そんなに広いわけではないのに、道のりが長く感じた。
「やっと着いたね。」
と亮平が言った。
そして、部屋に入った。
ソファーに座ると、崇瀬が不気味に笑っている。
おかしいと感じたのはこのときだった。
崇瀬の表情が殺気に満ちている……
すると、崇瀬が、
「お前はここで、死ぬ……」
「な……何言ってるんだよ?」
「殺されるんだよ。俺に。」
「嘘だろ……?」
「言った通りだ。」
「ほ……本気かよ……」
「すこ〜し痛いけど、我慢してね。」
崇瀬が、微笑みながら言った。手には、マイクを握っている。
「ごめんね。」
と言いながら、微笑んでいる。そして、マイクを振り下ろした。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ハァ……ハァ…………夢か……。」
「ゆ……夢?」
亮平は、背筋が凍った。
夢から、覚めない。
コップ一杯の水をのどに流し込み、着替えて外に出た。
「やっぱり……」
カラスが、前と同じ電柱の場所に2匹とまっている。
「どうなっているんだ?」
このとき、亮平の頭の中で、ある出来事がフラッシュバックしていた。
亮平は、急いで家の中に入ってパソコンをつけた。
インターネットの検索履歴から、最新の履歴の項目をクリックした。
「マジかよ……」
そのサイトの端に、広告があった。
その広告の見出しは、
『ワンクリックで、人生終わる』
その下には、
『これをクリックすると、意識がなくなり、夢から抜け出せなくなります。クリックは、自己責任で、お願いします。』
「そうだ……あのとき……」
そう……亮平は、クリックしてしまったのだ。その広告を。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ハァ……ハァ…………。」
「ゆ……夢?」
『夢から……抜け出せない……!?』
終わり
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