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手当て “GOD HAND~奇跡の力~”  作者: さじかげん
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[変化]

[変化]


どれくらい時間たったのだろう。

まだ生きているのだろうか。

僕には何もわからない。


遠くのから何か音が聞こえてくる。


「……線に電車が参ります。白線の内側でお待ちください。」


暗闇の中、電車が来るのかと考えた。

少し何も考えずにいた。

すると昨日の出来事がふいに頭をよぎる。


酒を飲んだ。

腹が痛くなった。

電車を降りた。

血を吐いた。

子供とおじいさんに会った?


パッと目が覚めて飛び起きた。

それと同時に目の前に電車が飛び込んで来た。


扉が開くと人が次々に降りてくる。

降りてくる人は僕を汚いものを見るような目で通り過ぎていった。


僕は、自分を見た。

ネクタイはだらしなくぶら下がって、スーツはしわだらけ。

靴はベンチ近くに散らばっていた。

頭はボサボサで、口の中が気持ち悪い。


シャツは何か臭く、乾いた嘔吐物と赤い血の跡がある。


僕は我に帰り。

「あっ!仕事」

と口にして時計を見た。


時計は午前7時10分、日付は土曜日を指していた。

今日、明日は久しぶりの連休だ。

ほっと胸を撫で下ろした。



僕は、靴を履き、できるだけ身だしなみを整えた。

トイレで用を足し、顔でも洗おうと考えて構内を見渡した。


東沢という看板が目に入った。


「なんだ、一つ前の駅じゃないか。」

そう一人呟いた。僕の駅は、次の府上であった。


とりあえず、トイレに入り顔を洗った。

ハンカチで顔をぬぐい、鏡を見た。

ひどい顔だ。ただ血色はいい。


と思った時、自分の腹に手を当てた。

痛みが治まっている。

薬が効いて良かった。

そんなこと考えながらハンカチをしまい、

昨晩一夜を過ごしたベンチに戻り

電車を待つことにした。


電車を待つ間、考えた。

僕は血を吐いた。先が長くないかもしれない。

一度医者に診てもらおう。


間もなく電車が来たので乗り込んだ。


一駅だったので府上駅にはすぐに着いた。

改札を抜け、自分の家に向かって歩き始めた。


ここから家までは徒歩10分くらいだ。

歩き出してからすぐに、今まで感じたことのない空腹感に襲われた。


腹減ったなあ。昨日の夜全て吐き出してから何も口にしていないからしょうがないか。

自分に言い聞かせ、駅近くのコンビニエンスストアに入った。


店内に入ると、かつてない食欲が湧き出てきて、全てのものがおいしそうに見えた。

肉もの、油ものそして、甘くて冷たい炭酸系飲料水を体が欲していた。

僕は、昨日の痛みがぶり返すことが怖かった。


だがそれ以上に体が欲していた。


僕は、欲求を最大限抑えた。

飲み物は、暖かいお茶と100%オレンジジュース。

食べ物はレンジで温めるうどんとそば、そしておにぎりを4つカゴに入れた。


会計に進んだ。


口から出る言葉を押し込めることはできなかった。

「からあげ二つください」


店員は、手馴れた手つき商品を袋詰めし、商品を手渡した。

「ありがとうございました」


僕は、足早に店を後にした。

店から出るなり、から揚げを取り出し人目など気にせずむさぼりついた。


から揚げを二つ勢いよくたいらげ、冷たいジュースを一気に飲み干した。


「ふうう」


かつてない食べ方をした。

体にから揚げとジュースが行き渡るような感覚がした。

体が喜んでいるのがわかる。

それでも、まだ体は食べ物を欲していた。


食べ終えた僕は、足を進めた。

後は家で食べよう。


何か感覚がおかしい。

この上ない充実感がある。

食欲が恐怖に勝ることがあるのだろうか。



今日明日はお休みだ。

お腹が痛くなったら、その時はその時だ。

なぜか僕は強気に考えた。


食欲を満たしたい僕は無心で家まで足早に歩いた。



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