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手当て “GOD HAND~奇跡の力~”  作者: さじかげん
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【患者さん達の容態】

【患者さん達の容態】




藤川先生にはめられた僕は泣く泣くあの事故の患者さんに会いに行くことになった。


藤川「仁先生は、同業なのでうちので悪いけどこれ着てもらっていい?」


藤川先生は、仁に白衣を手渡した。


仁「必要なくないか?俺も、ダイキと一緒の扱いでいいぞ。」


藤川「まあまあ。いいのよ。」


仁は何か不に落ちない顔をして白衣に手を通した。


藤川を先導に応接間から病棟に移動することとした。



藤川「大木君が手伝ってくれた患者さんの病棟は3室で18人でね。

   メディア関係の対応もあってまとまって治療をしている。

   被害者は知っている通りもっと多数いたが重傷者だけが

   入院していて、軽症者は通院してもらっている。」


藤川先生は、簡単な説明をしながら病室まで案内した。



藤川「ここが1部屋目だ。」


入口には警備員が立っている。


藤川「メディア関係の者が身分を偽って勝手にうろついているので

   念の為警備させているのよ。」


警備の者が藤川先生に軽く頭を下げ、

藤川先生も同じく頭を下げた。



藤川「入るわよ。」


僕と仁先生は無言で頷いた。



コンコン・・・ガラ。


扉を開け藤川先生が入って行く。


すると僕が思っていた光景と違うものがあった。


僕が思う光景は、薄暗くカーテンで仕切られた物静かな空間だった。

たぶん、仁先生も同じようなことを考えていたと思う。


しかしそこは、

カーテンの仕切りもなく和気あいあいと患者さん同士が話し合っている光景だった。


患者男「よお。先生おはようございます。今日も美人だねー。」

患者男「おはようございます。」


他の患者も同じく笑いながら先生に挨拶をしてきた。


藤川「おはよう・・・って皆さんここがどこだかわかってます?

   喫茶店じゃないのですから。ちゃんと自分のベットに戻ってください。

   あなた達患者さんなのよ!」


藤川先生がため息をつきながら言った。


患者男「でもさー先生俺達元気だから。暇なんだよね。

    もう退院してもいいかい?」


藤川先生「だめです!報道を見ているでしょ?

     あなた達のプライバシーを守るのも治療の一環です。

     もう少しおとなしくしていてください。」


患者男「へーい。・・・まあ居心地もいいし、飯もうまいからな。暇な以外は文句はないか。」


そう一人が言うと患者達が皆笑った。


患者男「ところで先生後ろのお二人はどなたですか?」



僕は急に振られてびくっとした。


藤川「ああ。紹介が遅れた。あの事故での救護ヒーローの大木さんだ!

   あの時、私の片腕になって君たちを一緒に救護してくれた者だよ。

   隣は、大木君の知人の医師さ!」


患者達「おおお!!」


患者達は皆立ち上がって僕の方に寄ってきた。


患者「おお!あのテレビに映ってたにいちゃんがおまえさんかい。あの時はありがとうな。

   俺は気が動転していてあの時のことはあんまり覚えてはいないけど誰かに助けてもらった記憶はある。」


患者「そうそう。俺もそうだよ。ありがとう。本当に。

   君のお陰でこんなかるい怪我でいられてるだもんな。本当にありがとう。」


なんやかんやで患者さん達に囲まれた僕はお礼と質問攻めにあって

四苦八苦していた。


そんな姿をみて藤川先生と仁は笑顔で様子を伺っていた。


しばらくして


藤川「はいはい。おしまいよ。大木君は次の病室にいくのだから

   それまでにしてちょーだい。大木君の体がもたないわよ。」


藤川先生は手を叩きながら患者さん達をベットまで追い払った。


患者さん達はしぶしぶ自分たちのベットへ戻った。


藤川「あなた達体は元気なのはわかるけどもうしばらく辛抱しなさいよ。」


患者達「はーい」


気の抜けた返事であった。


藤川「・・・あと。あなた達、看護師達に手をださないようにね!」


藤川先生が患者達を軽く睨むと

皆が目を逸らした。


そして僕らは病室を後にした。


病室を出て僕は一言いった。


「皆さん元気そうで良かったですね。」



藤川先生「そうねえ・・・元気でよかったわ。」


藤川先生は軽く笑顔で答えた。



仁「・・・」



次の病室に移り、扉を開け入った。

女性病棟であった。


ここも先ほどと同じように開放的空間があり

患者達がわきあいあいとしていた。


男性が来たということと救護のヒーローが来たということで

僕はお礼だけでなくプライベートなことにも質問攻めされ、気が遠くなる思いだった。


藤川先生と女性患者さん達の関係はいい雰囲気で

客観的に見ていても理想の先生と患者さんの付き合いに感じた。


隣にいる仁の様子を伺うと

腕を組みまるで娘達を見ているような眼差しで笑顔でいた。



・・・

最後の3つ目の病室も同じような状況だった。



3つ目の病室を出てへとへとになった僕を見て

藤川先生と仁は笑い。


藤川先生は

「今日は悪かったわね。ありがとう。」と

仁は

「お疲れ様」と声を掛けてくれた。



お見舞い訪問が終わり、少し早いが食事に行こうということになり

藤川先生は着替えと引継ぎをしに戻っていった。



僕と仁は

病院のエントランスで藤川先生を待っていた。



待っている間、仁と話をした。


「患者さん、元気そうで良かったです。

 大変だったけどがんばって手伝ったかいはありました。」


僕がそう話かけると


仁「・・・そうだな。患者さんにとっては本当にいいことだな。

  ただなあ・・・」


仁は少し言葉を濁した。


「何か悪いことありました?」


僕は仁に質問した。


仁「患者さんにとってはいいのだけど。病院にとって・・・というか

  藤川先生にとってはどうなのだろうかと思ってな・・・」



「どういうことですか?」

僕は意味がわからなかった。



仁「ダイキ!さっきの3室は何用の病室って言っていたか覚えてるか?」


僕は少し考えた。


「・・・重症患者用って言ってましたね。」


仁「そうだよな・・・でも今日の様子を見る限りではそんな重傷者はいなかったぞ。」


「・・・ですね。」


「もしかしたら、対メディア向け専用に確保した部屋だからじゃないですか?

 各部屋に警備員もいたし・・・」


仁「そうだったらいいのだけどな・・・」


仁「ダイキ!おまえやったろ?例のやつ?」


「まあ、やりましたけどばれない様に完治はさせてないですよ。」


僕は冷や汗が出てきた。


仁「それは聞いたが、根本的なところはしてやったんだよな?」


「・・・はい。すごく苦しそうだったので・・・」


仁「なるほどね・・・ダイキ。」


「はい?」


仁「俺はなんでお前が呼ばれたかなんとなくわかった気がするよ。

  この後の食事は・・・まあ覚悟をしておくんだな。

  できるだけフォローはしてやるが、あの先生だと難しいかもしれん。」


「え?どういうことですか?

 何か怖いですけど。帰ります?」


仁「いや・・・もう遅い。先生のお出ましだ。」


そう言った仁の顔先を見ると

私服に着替えた藤川先生が笑みを浮かべながら歩いてきた。


僕はその笑顔をみて

背筋がゾッとしたのを覚えている。

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