表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手当て “GOD HAND~奇跡の力~”  作者: さじかげん
63/72

[惨事]

[惨事]



僕は驚いて悲鳴のあがった方へ顔を向けた。

前田雫も後ろを振り返った。



何か騒がしい様子だったが、遠方で状況が把握できなかった。



「何が起きているですかね?」

前田雫は不思議そうに僕に問いかけてきた。


「何かあったみたいだけど、よくわからないな…」


僕らと同じように周りの人達も悲鳴のほうに注目していた。


時間の経過と共に悲鳴やざわつきが近づいてきていた。


車の音がした。


その音はどんどん大きくなり近づいてくるのがわかった。


(何かおかしい)

僕はふいにそう思い、この時前田雫の手を取り歩道の端に寄った。


そして目にしたのは歩道をものすごいスピードで走ってくる車だった。


そのスピードに逃げれる人もいたが、

突然の出来事に動けなかった人、逃げ切れなかった人など

多くの人がひかれ歩道に倒れこんでいくのを目の当たりにした。


車は僕らのすぐ近くまで近づいて来た。


前田雫も突然のことでただその状況を眺めていた。


僕は、前田雫を手を引っ張りすぐ側の店内に倒れこむように身を投げた。


その瞬間、車は歩道にある看板や自転車、屋外においてある商品を引き飛ばしていった。


間一髪のところで僕らは避けることができた。

覆いかぶさるように下にいた前田雫にすぐに声をかけた。


「だ、大丈夫?」



前田雫は、頷くしかなかった。

目の前にある主任の顔にこの場に及んでときめきを感じてしまっていた。


騒ぎを知り、逃げ込んだ店内の奥から店員らしき人が駆け寄ってきた。


「お客様!何があったんです?大丈夫ですか?」

驚いた表情で声をかけてきた。


僕はすぐに立ち上がり、前田雫に手を差し伸べて起き上がるのを助けた。



「外で人身事故です。」

それだけ言うと、前田雫に顔を向けた。


「ちょっと様子を見てくる。前田君、店員さんに状況を説明してあげて、

その後すぐに救急車を呼んでもらって!」


前田雫は、いまいち状況を把握できていなかったが、頷いた。


「店員さん。申し訳ない、この娘をお願いします。」


そういって僕はお店の外に出た。


歩道には、いろんなものが破壊され散らばっていた。


目に付く場所だけでも人があちこちに倒れていた。


悲鳴のような声…泣き声…助けを呼ぶ声があちこちから聞こえてくる。



「…なんだこれは。」


僕はこの状況に唖然としていた。


しかし、それも束の間だった。


まだ、車の音が近くに聞こえていた。


僕は、その方向に体を走らせていた。




車の音がする方へ最短距離で走っていくと


目の前にボコボコの車が目に入った。


運転席が見えた。


老人が何事もなかったように平然とした様子で運転をしていた。


「!?」


その目に入ってきた情報に脳が追いつかなかった。



その間にも車は歩道抜け、大通りを横切ろうとしている。


車が走っていく方向の信号は赤だ。


横断歩道にはたくさんの人が渡っている最中だった。


「マズイ!」


僕は必死に追った。


追いつくはずもなかった…


車は、横断歩道を渡っている人達のところに突っ込んでいった。


僕の目の前には現実とは思えない惨状がスロー再生のように流れた。


悲鳴と共に人が次々に倒れていった…


しかしその車は、スピードを落とすこともなく突き進み、

少し離れたコンクリートの壁に激突しようやくその動きが止まった。


横断歩道に倒れこんだ人達を助けようと、近くにいた被害を免れた人や

付近を走っていたドライバー達が駆け寄っていった。


野次馬らしき人達も集まりだし、携帯カメラでその惨状を撮っているものもいた。


僕はと言うと…


先ほどの惨状を目の当たりにして、ショックで

その場で膝をつき意識が飛んだようにその様子を眺めていることしかできなかった。


数分たっただろうか…


僕は、意識を取り戻したように我に返った。


「い、行かなきゃ!」


僕は自分を奮い立たせるように言い聞かせた。


その足は、先ほどの全力疾走のせいか、それとも恐怖のせいかわからないが

ガクガク震えてた。


引きずるように足を動かし始めた時、

遠くの方からたくさんの救急車とパトカーのサイレンの音が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ