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手当て “GOD HAND~奇跡の力~”  作者: さじかげん
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[デート その2]

[デート その2]



僕は何件のお店を連れ回されたのだろう?

そんなことも考えれらないくらい疲れていた。


いつのまにか手荷物も増え、両腕も疲れてきた。

よく見ると今自分が着ている服は上から下、靴の果てまで

朝、僕が着てきている服と全て変わっていた。


ふと横を見ると僕とはまったく違う生物がいた。


笑顔で元気良く歩いている。

彼女の口からあの店はどうだった。これは良かった。

次はこのお店に行こうなどと嬉しそうに話し続けていた。


そんな彼女を見ていると僕としてはうれしいのはやまやまだが

僕の体力が続かない。


「前田君…」


「はい?主任どうしました?

あんまり元気がないみたいですけど…

私といるとあんまり楽しくありませんか?」


心配そうな感情と寂しそうな感情が入り混じった顔を覗かせた。


「前田君が楽しいならそれはそれで構わないのだけど…

少し疲れてきたし、お腹も空いてきたから食事なんかどうかい?」


「ああ!いいですね~。主任何か食べたいものでもありますか?」


前田雫はすぐにうれしそうな顔に戻り答えた。


「君が好きなものでいいよ。」


「それならお寿司なんてどうですか?

この先に安くておいしい所があるんですよ。」


「ああいいね!そこにしようか。」


僕は正直食事のことより、これで一休みできることに安心していた。



寿司屋に入った僕らは一通り腹を満たした。


「前田君このお店いいね。カウンターの席だけなのにも関わらず

想像してたよりも安くておいしいね。ここらへんは良く来るの?」


「いえいえ、渋谷は学生の頃に数回行った程度でここら辺のことも

あんまり詳しくないですよ。」


「へえそうなのか。店も色々知っているみたいだったから詳しいのかと思ったよ。」


「いえ、今日のデート楽しみだったので、がんばって色々調べてきたんです…」

前田雫は少し恥ずかしそうに言った。


僕は前田雫のそんな態度はあんまり見たことがないので愛らしく感じていた。


「私も結構がんばったので疲れました。一息つけて良かったです。」


「…そっかありがとう。」


「主任はもう今日のことを忘れているかと思いましたけどね…」

前田雫は軽く睨んだ。


「いや、だから昨日の件は本当に申し訳なかったって言ってるじゃないか。」


僕の反応をみて前田雫はうれしそうに笑っていた。



食事を終え寿司屋を出た。


「僕の分はもう十分だから、次は選んでくれたお礼に君に何かプレゼントするから

それを買いに行こうか?」


前田雫は目を見開いて僕の顔を見た。


「本当ですか?いいのですか?

私の勝手で連れましてしまったのに…」


「いいよ。でもそんなに高い物は買ってあげられないけど…」


「高いものじゃくてもいいです。主任からプレゼントしてくれることが

すごいうれしいです。」


前田雫は横で本当にうれしそうにしていた。


「僕なんかからもらってうれしいの?」


「うれしいですよ!主任は自分の魅力に気付いていないだけですよ。

特にここ最近は主任変わりましたから!」


「変わった?」


「そうですね…具体的にどうのって感じではないのですが

健康的に見えるというか…何か自信と余裕がにじみ出ていると言うか…」


前田雫は、少し考えながら言った。


僕は、前田雫の言葉に思い当たることがあった。

あの力を持った時から、今までにないくらい体の調子がいい。

腹の弱い僕があれ以降壊したことがない。

食事や飲みものに関して変に臆病ならなくなったせいか

しっかり量も増え、疲れを感じることが少なくなった。

体のことを気にしなくてよくなると、必然的に気持ちに余裕ができてくる。

それが仕事だったり、人当たりにも影響しているのは自分でもわかっていた。


僕はそんなことを真剣な顔で考えていた。

そんな僕を見ていた前田雫は言った。


「主任!なんとなくですよ!なんとなく!

私は前からずっと好きだったので、そんな風に感じたのかもしれないですよ!」


「え!?」

思わず顔を前田雫に向けた。


「あ!?」

前田雫も自分の言ったことびっくりして、手で口を押さえた。


「いや…あの…あれですよ。人間的にって意味で、あんまり深い意味はなくてですね…」

前田雫は顔を赤らめながらさっきの言葉を訂正した。



少し頭を上にあげ、あごに手をやった。


「ああそうか。そういう意味か…」

僕はすぐに納得した。



僕がすぐに納得したことに、今度は前田雫が納得していなかった。

主任が納得している姿を見て、自分が言葉を訂正したことにとても後悔した。


(そういえば、主任ってこういう人だった…)


主任は、何事もなかったように歩き出していた。


そんな主任の後姿を見ながら、前田雫は左手で首を掻いた。


(あ~この鈍感男が!)

心の声を大きく口に出したい気分だった。


(もうこの際だからハッキリ伝えよう。

じゃないと主任とはこの先も何も変わらない。

こんなチャンスはもう二度と来ないかもしれない)


前田雫は意を決した。


「主任!待ってください!

ちょっと話があるんです!」


そう言って前田雫は主任の背中を追いかけた。


僕は前田雫の声を聞いて後ろを振り返った。



僕の目の前に前田雫が近づいてきた。

あまりの近い距離に僕は驚いていた。


「…前田君、ちょっと近くないかい?」


そんな関係ないとばかりに真剣な表情で僕の顔を見つめていた。


「大木主任!私は…」




「きゃあーーー!!」


そんな時、前田雫の後方遠いところから悲鳴が聞こえた。


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