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手当て “GOD HAND~奇跡の力~”  作者: さじかげん
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【条件】

【条件】


社長室の前まできた僕は、一度ドアの前に立ち大きく息を吐いた。


直接話す機会がほとんどない社長に会うとなって緊張をしていた。


(多分、春風社長の件だとは思うが…直接呼ばれるってことはどういう用件なのだろう)


僕は意を決してドアをノックした。


「入りたまえ」

ドアの奥から声が聞こえた。


僕はドアを開け中に入っていった。



「君が大木君か!顔は覚えとるよ。まあ、座りたまえ。」


そう促されて僕は、はいと答え社長の迎えに座った。


「今回呼ばれた理由はわかるかね?」


単刀直入に聞いてきた。


「心当たりがあると言えば、先日伺ったスプリングブリーズ社の件でしょうか?」


「ふむ。その通りだ。」


「では本題に入ろう。本来取引内容については部下に一任しておるから、大木君と直接話をすることはないことは君もわかっているだろう。

 ただ、今回に関しては我が社の今後の行く末に大きく影響する取引であり、かつ相手先の春風社長が提示してきた内容がちょっと普通とは違ったものだったからここに来てもらったのだ。」


「普通とは違うとおっちゃいますと…」


「取引については大木君も十分承知していると思うが、基本的に唯一無二である技術力のある会社と契約を結ぶときは、契約を依頼するほうの立場は弱く、契約を受けるほうは立場が強い。特に今回の場合、他社からアプローチも多くあり各社と比較対応されるから尚のことだ。だから私は、多少の損害があっても必ず契約を取ってきてくれと部下に促したのだ。」


「はい。」


「しかしだね、今回は春風社長自ら私に電話を掛けてきた。そして、こう言ったのだよ。」


『吉村社長、うちの新型バッテリーの専属契約を貴社と取り交わしたい。ただ、契約するにあたって一つだけ条件があります。』


「大木君、なんだと思う?」


「昨日は、契約の話までしませんでしたので私には見当がつきませんが…」


社長は、少しにやっとした後に言葉を続けた。


「娘ともう一度会って話す機会をつくってほしい。そう言ったのだ。」


僕を、驚いて目を見開いて社長を見返した。


「ふふふ。驚いたろう?これから何千億とも言われる金額が動く世界で、条件がこれだけだったのだよ。」


僕は無言だった。


(そう来たか。)


僕は彼女が何かしらのアクションを起こしてくるくとは見越していたが、まさかここまでするとは予想外だった。


「大木君、君は春風社長の娘さんと何かあったのかね?」


「あ…いえ、駅で困っているところを少し助けただけで…」


社長は笑み浮かべながら言った。


「そうか。何にせよ良くやってくれた。やはり、大きなことはお金ではなく、人が解決していくものなのだな。」


僕はまだ無言を貫いていた。


それを見ていた社長はこういった。


「君と春風社長の娘さんと何があったのかは、私は知らない。詮索しようとも考えておらん。

ただ、今回に関しては我が社の未来にも掛かっておる、もちろん契約を取れた暁にはそれなりの評価をさせてもらうつもりだ。だから、ここは私に免じて娘さんと会ってもらえないだろうか。頼む。」


そう言って社長は頭を、僕に向かって下げた。


「社長!やめてください。」


僕は慌てて言った。


「…わかりました。会います。ただ私にも条件を付けさせてください。」


そう言うと、社長は頭を上げた。


「言ってみてくれ。」


「はい。一つ、これはあくまでプライベートの内容に近いので娘さんと直接やり取りをさせてください。二つ、会ったことで契約が白紙に戻ったとしても責任を問わないでください

三つ、事が収まるまでこの件は会社に公にしたいでほしいです。

この三つの条件を呑んでいただけるなら娘さんとお会いします。」



「…わかった。娘さんの連絡先は、先方に聞いておく。白紙は…なるべく避けてほしいものだな。もちろんこの件が失敗しても君の責任は問わないようにする。」


社長は、真剣な目で僕の目を見据えた。


「宜しくお願いします。」


「後は君に任せる。事が収まったらまた連絡をくれたまえ。」


そういって社長は、プライベートの電話番号を僕に差し出した。


「大木君、呼び出して悪かったな。業務に戻っていいぞ。」


「はい。わかりました。」


僕は席を立ち、出口のドアの近くで再度社長に礼をして部屋を出ようとした。


ドアに手をかけたところで社長が最後にこう言った。

「大木君。任せたぞ。」


僕は社長室を出た。


「はああ。」

ため息をつき、自分の部署に足を進めた。


(なるようになるしかないな…)


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