【いつもの朝】
【いつもの朝】
翌日、僕はいつもように会社に出社した。
そして、いつもように朝礼が終わった。
課長「では、今日もがんばってくれ!」
それぞれが自分の業務に戻って行った。
課長「大木君!昨日はどうだったかね?事務処理があるだろうから、終わり次第
経過を話しに来てくれ。」
「はい。」
僕は簡潔に答え、机に向かった。
(さて、どう報告しようか…ありのまま話して、改めて伺う予定だといえばいいか。)
そんなことを考えながら、日常の事務処理をこなしていた。
そんな時、少し遠い席の課長の電話が鳴った。
課長「はい。…え!?社長!おはようございます。」
課長の席にいた周りの者は、みんな課長に視線を移した。
社長が、各課に電話を掛けてくることなどほとんどないことであるからだ。
課長「え?大木をですか?はい。」
大木と言う名が出て、先ほど課長に目線を移していた者が大木に切り替えた。
もちろん、僕はそんなことには気付いてはいない。
課長「何か大木が問題でも起こしましたでしょうか?…いや、その件に関しましては
私からお願いしたのもありまして…わかりました。そちらに伺わせます。
はい。それでは失礼します。」
課長は、電話切った。
ふーっとため息をつき、席を立ち上がった。
そして、その足は僕のところに向かっていった。
気付いているものは、自分たちの作業を止めて、動向を見据えているようだ。
課長は、僕のところまで来て口をあけた。
「大木君!」
僕は、作業に専念していた為、急に話しかけられてびっくりし、声のほうに振り返った。
課長が、何か強張った顔をして僕を見ていた。
僕は、何だろうと思っていると、周りの衆もいつもとちがう空気に、一斉に僕を見つめている。
課長「大木君、昨日私が頼んだ取引先で何か問題でもあったのかね?」
「いえ、特に問題はないかと…」
僕の困惑している顔を見た、課長はやれやれという感じで頭を掻いた。
課長「とりあえず、今からすぐに社長室に行ってこい。お呼びだ!」
「え!?」
課長「え!?は俺が言いたいわ!後で詳しく話せ。言って来い。」
「はぁ…」
僕は気の抜けたような返事をした。
課長は、やれやれといった感じで自分の机に戻って行った。
すぐに周りのみんな寄って来た。
「大木さん、何かやらかしたんですか?」
「主任、何か取引先であったのですか?」
口を揃え色々と質問してきた。
前田雫も僕の近くに来ていた。
「主任、クビになっちゃうんですか?」
「勝手にクビにするな!」
さすがの僕でもそれにはツッコミを入れてしまった。
前田雫はえへと言った顔をして悪い笑みを浮かべていた。
「俺も理由がよくわからない。…まあ、とりあえず行ってくるよ!」
僕は席を立ち出口に向かって歩いていった。
ドアを閉めるときにみんなのほうにチラッと目をやると
みんなが両手を合わせ、僕に向かって合掌をしていた。
「くそ。あいつらめ。」
そういいながらも、こうやって送り出してくれる仲間たちに僕は悪い気がしなかった。




