表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手当て “GOD HAND~奇跡の力~”  作者: さじかげん
41/72

[社長の娘]

[社長の娘]



社長は、僕の目をじっと見据え、それから出された茶を手に取った。


社長「君もお茶を飲みたまえ、我が社の淹れたての茶はおいしいぞ。」


そう言って、今までとは違ったやさしい笑顔を見せた。

僕は、いただきますと言って一口飲んだ。


社長の言う通り、そこらへんの安いお茶ではないくらいのことは僕でもわかった。


僕「本当においしいですね。」


社長は、そうだろうって言うような笑顔で応えた。


社長「大木君と言ったな。君はめずらしいな。

特に、商社として強気な態度を見せることなく、だからと言って媚びてくる様子もない。

自分の意思をしっかりもっている。

初めて見た顔だと思ったからどんな奴かと思ったが、君の会社の人材の選択はよかった。

私という人物を少しは理解しているようだね。」


僕は、素直にお礼を述べた。



少し間があってから社長から口を開いた。


社長「ちょっと長くなるが娘の話をしていいかね。」


僕「はい。もちろんです。」


社長「うちの娘は、実は目が見えんのだ。

小さいときから弱視でな、小学校に入る頃にはもう完全に失明してしまった。

私の妻も、病でその頃に亡くなってしまった…。


私は、娘を一人でなんとか今まで育ててきた。


ただ、世間はそう甘くない。学校にいけば目を理由にいじめられることもあった。


国は、障害者に対してそれなりの制度を設けて力になっていると言うが、

実際にはそんなものは微々たるもので、障害者に対する、ハードの面、

ましてやソフトの面では全くもって足りていない。


私は、残念ながら娘よりは長くは生きていけない。

だから私は、娘が私がいなくなっても生きていけるように必死に育ててきた。


…まあ、娘にとっては口うるさくて面倒な親父だと思っているだろうが。」


社長は、少し寂しそうな顔をした。


社長「それで、娘が今後の生活の中で苦しむことが少なくなるのならば、私は娘に嫌われても構わない。」


社長「娘は今、私の会社で私の秘書として働かせている。

親ばかだと思われるかもしれないが、やはり心配でな。

娘は、私の元を離れて一人でやっていくと言っているのだが、

小さい時から娘が受けてきた仕打ちを考えると許可できんかった。」


社長「私は娘の意思を酌むことをせず、半ば強制的に私の会社に入社させた。」


社長「もちろんそのことについて…娘のことを社内でよく思っていない者もいることも知っている。

それによって娘も苦しんでいることも…」


社長「私は間違っていたのかもしれないな…」


そこまで話すと、ため息を付きまたお茶に手を伸ばした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ