[状況把握]
[状況把握]
春風ハルは、いったん目を閉じた。
今、自分がおかれている状況を冷静に考えようとした。
瞼を上げると、やはり今まで感覚でしか感じ取れなかった景色が目の前に見えた。
春風ハルは、また深呼吸をした。
車椅子に座ったまま、両足に肘をのせ、両手を開きその上に顔を乗せた。
春風風考えるポーズだ。
春風ハルは、目が見える前、足が痛くなくなる前の経緯を思い出してみた。
公園に着いた時は何も見えなかった。
足はどうだったか。もっと重い感じがしたような気がする。
私は大木さんに弱みをぶつけた。
目が見えるようになりたいとも言った。
大木さんは打ち合わせがあって帰ることになった。
でも、かくれんぼをしようと言った。
大木さんが私に触れた。
最初に足に。
そして両目に。
なんだか暖かくて気持ちよかった。
そこで春風ハルはハッとして手から顔をどかし、背もたれに身体を預けた。
春風ハル「大木さんが!?」
その時、2時を示すアラームが携帯電話から鳴った。
春風ハル「2時になっちゃった。会社に戻らないと…大木さん。大木さんはどこなの」
春風ハルは、とりあえず大木さんに話を聞いてみようと考えた。
自分に起きている状況を大木さんなら知っているかもしれない。そうおもった。
春風ハルは、公園内を探すことにした。
車椅子から立ち、人が隠れそうな所を探した。
探している最中、足の痛みがまったくないことを確信した。
歩くのに足に巻いてある包帯が邪魔だったので取り払った。
患部であろうと思われる部分を見て、触ったが腫れも痛みもなく普通そのものだった。
春風ハルは、靴を履き直し、公園を隅々まで呼び叫びながら探した。
同時に、目が見えるということはこんなにも細かい行動ができるのかと感嘆した。
春風ハル「時間になりそうだから、会社に行ってしまったのかな。」
「大木さんに限って、何も言わずに行くような人じゃないと思うだけど。」
「目が見えず、足も悪いこと知っているし…」
春風ハルは、一人ぶつくさ言いながら車椅子のある場所まで戻ってきた。
春風ハル「大木さんは、今の私の状況がわかっていたのかな…」
「あああ、もうよくわからない。大木さんの連絡先も知らないし。」
春風ハルは、一向に状況が変わらないことに苛立ちを隠せなかった。
春風ハル「会社に行こう…父さんに休憩が長くて怒られるかな~」
春風ハルは、目の前にある車椅子を見て、これも駅に返さなければと思い、車椅子に手をかけ、公園出口に向かって歩き出した。
春風ハルにとっては新しい世界へ踏み出す第一歩になることになる。




