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手当て “GOD HAND~奇跡の力~”  作者: さじかげん
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[公園]

[公園]



ボーノを出て、春風ハルを車イスに案内して乗せた。


春風ハル「ありがとう」


僕は時計を見ると、時刻は1時を過ぎていた。

ただ、先ほど春風ハルと話したところ、僕が目指している会社は徒歩でここから10分も掛からないところにあることを知ったのでまだ時間には余裕がある。


僕は、車イスを押しながら、先ほどマスターに言われた言葉を思い出した。


(大木君にただハルちゃんの友達になってほしいということだ。どうかね。)


僕は別に構わないけど、こんな年が離れているおじさんが友達って変じゃないのか。


そんなことをモヤモヤと考えていると春風ハルが話しかけてきた。


春風ハル「大木さん。何考えているのですか。」


僕「い、いや。別に何も。」


僕は急に話を振られ、自分の考えを見透かされているかと思いびっくりした。


春風ハル「なんか。騒がしいお店ですいませんでした。マスターに色々言われたかもしれませんが気にしないでくださいね。」


僕「いえ、とてもいいお店でした。人間味があって、なんと言っても料理の味がものすごくおいしかったです。また来たいくらいですよ。」


春風ハル「本当ですか。そんなに喜んでもらえてうれしいです。」



春風ハル「もしよかったら。また一緒に行きませんか。」


春風ハルは膝の上に置いた手を握り締めて言った。


僕「僕は、ハルちゃんさえよければいいですよ。」


春風ハルは、その返事に首だけ後ろに向けて言った。


春風ハル「も、もちろんです。また、行きましょう。今度こそ私が奢りますから。」


春風ハルが、急に後ろを向いて、喜んでいるのか身体を動かした為、車イスのバランスが悪くなった。


僕「ちょ、ちょっと。ハルちゃんそんなに動かないで。危ないよ。」


春風ハル「あっ!ごめんなさい。ちょっとうれしくなってしまって。」

そう言って自分の火照った首を、手で押さえるしぐさをした。


その後は、他愛もない話をしながら駅近くの大通り手前まで来た。


春風ハルは、大通りの車や町の音が聞こえてくると、僕に一度車イスを止めるように言った。


僕「どうしたのハルちゃん何かあった?」


春風ハル「大木さん少し時間ありますか?」


僕はもう一度時計を見て言った。


僕「そうだね。会社には10分前くらいには着きたいから、あと30分ほど余裕があるかな。」


春風ハル「そうですか。ちょっとだけ寄り道してもいいですか。そんなに時間は掛かりません。」


僕「それなら構わないよ。」


春風ハル「今、目の前に大通りがありますよね。」


僕「うん。」


春風ハル「左側に小さな公園が見えませんか。少し坂の上なんですけど。」


僕は言われた場所を探した。

確かに、町並みには似合わない公園らしきものが

少し坂を上ったところにあった。


僕「あったよ。あそこに行くの?」


春風ハル「はい、車イスですごく申し訳ないんですけど…」


僕「うーん。そんなに急な坂道でないし大丈夫だと思うけど。とりあえず向かってみるね。」


春風ハル「ごめんなさい。私も手でがんばります。」


僕「ははは。宜しく。僕は力には自信がないんだ。」


そう言って僕らは公園を目指して上りだした。



僕「はぁはぁはぁ。」


これは思ったより結構きついぞ。

僕は、足腰が若干震い始めていた。


春風ハル「はあはあ。大木さん。がんばってください。はあはあ。」


春風ハルも手を必死に使って車輪を回している。


僕「お、おう」


僕は、押すのに精一杯で返事もままならなかった。


でも、どうにかこうにか公園にたどり着くことができた。


僕「はぁはぁはぁ。つ、着いたよ!ハルちゃん。」


春風ハル「はぁはぁはぁ。大木さん、ありがとうございます。」


僕は息を切らしながら公園を見渡した。


ブランコが一組だけあり、後は何もない小さな公園だった。


春風ハル「大木さん。ここは私の大切な場所です。私が死を望んだところ。マスターと洋子さんに会ったところ。そして、生きる希望が湧いたところです。」


春風ハルは、見えない空を見上げながらそう言った。


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